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なの「清兵衛と瓢箪」

2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:22:34.54 ID:vOufE9kQ0

それは、東雲なのがまだ生まれる前の話。



はかせ「出来たー!」

はかせ「じゃーん!今日の発明は、メカ犬!」

はかせ「これで、家にいるときもお散歩行くときも1人じゃないから寂しくない!」

はかせ「ぷぷぷ、はかせってば頭良いんだけど」

はかせ「さっそく一緒にお散歩しよっと!」


ガラガラガラ


はかせ「おいでおいでー」

メカ犬「わんっ!」
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:24:51.54 ID:vOufE9kQ0
はかせ「~♪」テクテク

メカ犬「ハッハッ」テクテク

隣人「あらはかせちゃん、こんにちは」

はかせ「あ、おばちゃん!こんにちわー!」

隣人「今日はワンちゃんも一緒なのね」

はかせ「うん!かわいーでしょー!」

隣人「そういえば、はかせちゃんの家って、犬飼ってたんだっけ?」

はかせ「違うよー、これははかせが造ったんだよー!」

隣人「!」

はかせ「えへへー」

隣人「へ、へぇ、そうなの……」

メカ犬「わん!」フリフリ

隣人「……そ、それじゃ、気を付けてね、はかせちゃん」タタッ

はかせ「うん!ばいばいおばちゃん!」

5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:26:07.86 ID:vOufE9kQ0
――翌日

はかせ「出来た!」

はかせ「今日の発明は、ネックレス型マッサージ機!」

はかせ「ご近所さんはおばちゃんが多いからね!」

はかせ「これを使ってあげれば、はかせ褒められちゃうかもしれない」

はかせ「もしかしたら、サメチョコたくさんくれるかもしれない」

はかせ「ぷぷぷ」ジュルリ

はかせ「さっそくお隣さんへれっつごー!」

メカ犬「わん!わん!」

はかせ「ごめんねメカ犬、今日は散歩じゃないんだよ」

メカ犬「わん!わん!わん!」

はかせ「んーしょーがないなぁ……うんしょ!首輪外したよー!」

メカ犬「きゃんっきゃんっ」タタタタタッ

はかせ「ちゃんと家に帰ってくるんだよー!」


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:28:44.34 ID:vOufE9kQ0
ガラガラガラ


はかせ「こんにちわー!」

隣人「あらはかせちゃん、こんにちわ」

はかせ「おばちゃん、早速だけどこれを首にはめてみて!」

隣人「え?あら、何かしら……ネックレス?」


カチッ

ウイーン……

ガガガガガ!

ムギュ!ムギュ!ムギュ!


隣人「痛ぁっ!?」

7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:30:30.41 ID:vOufE9kQ0
隣人「びっくりした……!」

はかせ「えへへー。どう、きもちい?おばちゃんにあげるー!」

隣人「い、いらないわよこんな物」ポイッ

はかせ「え……」

隣人「……じゃあ、おばさんちょっと用があるから……またね、はかせちゃん」


ピシャン!


はかせ「…………」

はかせ「えへへ、失敗しちゃった」

9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:32:19.66 ID:vOufE9kQ0
――翌日

はかせ「出来たー!」

はかせ「今日の発明は、無限油沸き機!」

はかせ「はかせが調べたところによると、おばちゃん達は油を貰うと嬉しいらしい」

はかせ「しょーもーひん?なんか毎日油を使うみたい」

はかせ「これを渡せば、おばちゃん達も喜んでくれるかも知れない!」

はかせ「……あれ、そういえばメカ犬、帰ってきてないんだけど」

はかせ「まいっか!さっそくお向かいさんにれっつごー!」


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:34:23.84 ID:vOufE9kQ0
はかせ「こんにちわー!」

隣人「は、はかせちゃん?何か用かしら」

はかせ「突然ですが、おばちゃんにプレゼントがあります!」

隣人「へぇー……な、何かしらぁ」

はかせ「じゃじゃーん!」

はかせ「おばちゃん、ちょっとここのボタン押してみて!」

隣人「え?こ、こう?」


ポチッ

ウイーン……

ドバドバドバドバドバドバ


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:36:03.36 ID:vOufE9kQ0
隣人「いやぁっ!な、何これ!?」

はかせ「油だよー!これ、おばちゃんにあげる!」

隣人「い、いいわよ、油ならスーパーで買ってくるから」

はかせ「これがあれば買わなくても済むんだよー!」

隣人「そんなものよりお店で売ってる物の方がよっぽどいいわよ!」

はかせ「むっ」カチン

14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:36:57.61 ID:vOufE9kQ0
はかせ「おばちゃんちにあるのよりはかせが作ったやつの方が良いに決まってるんだけど!」

隣人「分かりもしないくせに、黙ってて!」

はかせ「う……」

隣人「……それじゃあ、おばちゃんは買い物の支度するから……またね、はかせちゃん」


ピシャン!


はかせ「…………怒られちゃった」

はかせ「…………うう」


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:38:59.38 ID:vOufE9kQ0
――翌日


はかせ「ふあぁ」

はかせ「昨日は何もしないで寝ちゃった……」


  「「~~~~」」ザワザワ


はかせ「?」

はかせ「なんか外が騒がしいんだけど」

はかせ「どうしたのかな。はかせも行って来よ!」タタッ

16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:40:12.07 ID:vOufE9kQ0
はかせ「おばちゃん、どうしたのー?」

隣人「あらはかせちゃん。実はね、最近困った野良犬がいるのよ」

隣人「ドッグフードも食べないで、人の食べ物を奪って食べ散らかすの……ほら見て、あの犬よ」

はかせ「!」

17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:43:08.84 ID:vOufE9kQ0
はかせ「メカ犬ー!こんなとこで何してるの!」


  「「――――!」」ピタッ


はかせ「もー、ちゃんと帰ってきてって言ったでしょ!め!」

メカ犬「くーん」ショボン

隣人「あ……そういえばあの犬、あの子が自分で作ったって言ってたわ……」


  「「!?」」

  「「…………」」ヒソヒソ


はかせ「?」

18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:46:23.51 ID:vOufE9kQ0

  「うちなんて、一昨日あの子に変なネックレスを渡されて……」ヒソヒソ

  「うちも昨日、玄関に油を撒き散らされたわ!」ヒソヒソ

  「なんて危ない子なの……」ヒソヒソ

  「あんな子は将来とても見込みがないでしょうよ……」ヒソヒソ


はかせ「……」

はかせ「……帰ろう」

メカ犬「わん!」タタッ

19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:48:43.65 ID:vOufE9kQ0
はかせ「……」

メカ犬「Zzz」

はかせ「もう勝手にお散歩させちゃだめだね」

メカ犬「Zzz」

はかせ「人の食べ物食べても大丈夫なように造ったからいけなかったのかな……」

メカ犬「Zzz」

はかせ「ドッグフード食べない犬って、そんなに怖いかなぁ……」

メカ犬「Zzz」

はかせ「はかせたちと同じ物食べるほうが可愛いと思うんだけど……」

はかせ「犬の形だからだめなのかなぁ……」


はかせは暫く考えると、無言で立ち上がり、研究室へと向かった。

20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:52:03.61 ID:vOufE9kQ0
――翌日、夕方


はかせ「はぁ……はぁ……」

はかせ「で、出来た……」


はかせの目の前には、はかせより一回りほど年上に見える少女が寝転がっていた。
はかせの発明品なので、無論ロボットである……が、しかし。

艶やかな髪の毛、きめ細かで白い肌、細いまつ毛、潤った唇、丸みを帯びた胸。

どこからどう見ても、生身の女の子である。

22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:55:20.84 ID:vOufE9kQ0
はかせ「すっごく可愛い……」

はかせ「こんなに可愛い子が作れちゃうなんて」

はかせ「やっぱりはかせ凄いんだけど」

はかせ「毎日この子にお世話してもらえるなんて、嬉しい……」

はかせ「ちゃんと女の子だから、おばちゃん達が見てもおっかなくないだろうし」

はかせ「……えへへ」

はかせ「やっぱりはかせ天才かもしれない!」


その晩、はかせはその少女を風呂に入れ、隅々まで体を洗い、丁寧に服を着せ、髪の毛をとかし、炬燵に寝かせた。
そして自分も隣に寝転がり、いつまでも飽きることなく少女を見つめていた。

23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 17:58:33.75 ID:vOufE9kQ0
はかせ「なのちゃん」

はかせ「あなたの名前はなのちゃんだよ」

はかせ「明日になったら動けるようになるからね」

はかせ「いっぱいお話ししたりお散歩したりしようね」

はかせ「ふふふ……」

はかせ「寝顔も……きれいだなー……」

はかせ「なのちゃ……」

はかせ「Zzz……」

27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:05:01.36 ID:vOufE9kQ0
――翌朝


はかせ「んー……むにゃむにゃ」

はかせ「ふあぁ……あれ?」

はかせ「なのがいない!」ガバッ

はかせ「なのー!?」


なの「はーい?」ヒョコ


はかせ(!)


なの「おはようございます、はかせ」ニコッ

28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:06:54.76 ID:vOufE9kQ0
なの「朝ごはん出来てますから、一緒に食べませんか?
   あ、食べる前にちゃんとお顔洗ってうがいして来て下さいね!」


そう言って割烹着姿で微笑む少女――改め、なの。
その姿はまるで天使のように美しく、はかせは暫く絶句して見惚れてしまった。


なの「? どうかしましたか?」

はかせ「な……な……」

なの「?」

はかせ「なの好きぃぃぃぃーー!!」ガバッ

なの「うわぁっ!?」ドサッ


こうして、なのとはかせの平和な同居生活が始まった。
……かのように思えた。

29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:09:36.80 ID:vOufE9kQ0
はかせ「♪」テクテク

はかせ「今日は良い天気だねー!」

なの「ふふふ。そうですね、はかせ」

はかせ「気持ち良いねー!」

なの「はい。とっても気持ち良いです」

はかせ「えへへ。ねぇなのー」

なの「なんですか、はかせ?」

はかせ「呼んでみただけー!」

なの「ふふ、そうですか」ニコ


楽しげに散歩する2人。
しかしその背後からは、隣人達が訝しげになのを見つめていた。

30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:11:19.95 ID:vOufE9kQ0
  「ねぇ、あんな女の子、あの子の家にいたかしら?」

  「あの子に姉妹が居るなんて聞いたことないわよ」

  「親戚じゃないの?」

  「まさか。この辺であんな女の子、今まで一度も見たことが無かったじゃない」

  「それどころかあの子の家に人が出入りするところなんて見たことないわ」

  「……じゃあまさか、あの子が?」

  「ええ、きっとそうよ」

31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:13:17.06 ID:vOufE9kQ0
  「まさか、あんな小さい子にそんなこと」

  「いいえ、有り得なくは無いわ。これまであの子から受けた被害を思い出してよ」

  「……やっぱりあの子、ちょっとおかしいわよね」

  「ちょっとどころじゃないわ。異常よ」

  「これ以上あの子を野放しにしておいたら……危険すぎるわ」

  「……もうこれ以上目を瞑っているわけにはいかないわね」


そう言って1人が目配せをすると、残りの全員が頷く。
そして隣人集団は2人のもとへ駆けて行った。


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:15:58.35 ID:vOufE9kQ0
隣人「はかせちゃん、こんにちは」

はかせ「あ、おばちゃん達!こんにちわー!」

なの「こんにちは。いつもはかせがお世話になっております」ペコ

隣人「あ、あのね、はかせちゃん」

はかせ「んー?なあに?」

隣人「この前のネックレス……もしまだ家にあるなら、おばちゃんに頂けないかしら」

はかせ「!」

33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:18:07.81 ID:vOufE9kQ0
隣人「私も、あの油が出る機械、もし良かったらうちに置きたいの」

隣人「それにあのわんちゃんも……とっても可愛いから、おばちゃん達に見せて欲しいな」


はかせは目を輝かせた。


はかせ「分かった!すぐ持ってくる!待っててねおばちゃん!」

なの「きゃあっ!?」グイッ


はかせはなのの手を引き、一目散に家へと向かった。

34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:21:03.94 ID:vOufE9kQ0
はかせ「はい!全部持ってきたよ!」


ネックレス型マッサージ機、無限油沸き機、そしてメカ犬。
はかせは両腕でそれらを抱え、満面の笑みを浮かべた。


隣人「まぁ、ありがとうはかせちゃん」


隣人の1人がそう言うと、それが合図だったかのように、他の全員が後ろ手に隠し持っていた金属バットを取り出した。
そして、はかせが持つ発明品に向かって、一斉に振り下ろした。


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:23:43.21 ID:vOufE9kQ0
はかせ「……え」



はかせの発明品が道に散らばる。
隣人達は、それをひたすらバットで叩き割った。
はかせが愛を込めて丹念に仕上げた作品たち。
それが砕け散る音が道路に響き続ける。



なの「これは……一体……?」

はかせ「…………」

37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:25:23.68 ID:vOufE9kQ0
なのは横目ではかせを窺った。
はかせは泣いてこそいなかったが、顔は青ざめ、目を見開いて、黙って立ち尽くしている。
まずい、となのは思った。


なの「はかせ、帰りましょう」


うなだれるはかせの手を無理矢理引っ張り、なのはその場から逃げ出した。
後ろで「あのロボットも壊せ」と騒ぐ声が聞こえたが、気にせずひたすら家まで全力で走った。

39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:27:13.82 ID:vOufE9kQ0
バタン!


なの「はぁ……はぁ……」

はかせ「……」

なの「はかせ、大丈夫ですか?」

はかせ「……」

なの「はかせ……顔が真っ青ですよ」

はかせ「……」

なの「はかせ……」

44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:29:08.47 ID:vOufE9kQ0
はかせは何も言わない。
顔はひどく青ざめ、白衣の袖は微かに震えている。
拳を握り締めているのだろう、となのは思った。
なのは屈んではかせと目線を合わせると、そっと抱き寄せた。


なの「……とても、悔しかったんですね」


はかせは無言で頷いた。


なの「でも、はかせは泣きませんでしたね。よく我慢しました。偉いですよ」


優しく頭を撫でる。
しかしはかせの表情は晴れなかった。


はかせ「……違うの」

なの「え?」

45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:31:23.39 ID:vOufE9kQ0
はかせ「はかせは泣くと思ったの。すっごく悲しくてムカついたから、泣いちゃうと思ったの」

なの「……はい」

はかせ「でも……でも、涙が出なかったの。なんて言ったらいいかも分かんなかったの」

なの「……はい」

はかせ「はかせはいっぱい悲しいのに、なんにも出来なかったの。なんか固まっちゃって、動けなかったの」

はかせ「なんでだろう。なんではかせはなんにもしなかったんだろう。いっぱい泣いていっぱい言い返してやりたかったのに」

はかせ「なんで……なんでだろう……はかせ意味分かんないんだけど……」


それっきり、はかせはなのの腕の中で俯き押し黙ってしまった。
なのは、はかせにかける言葉が見つからなかった。
どんなに人間に近くても、本当の生身の人間の感情の機微までは、なのには想像することが出来なかったのだ。
なのは黙ってはかせを抱きしめ、頭を撫でてやることしか出来なかった。

46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:36:01.07 ID:vOufE9kQ0
なの「はかせ」


暫くして、なのは強い口調で言った。


なの「ここから出ましょう」

はかせ「え……?」

なの「引っ越しましょう。誰も私たちを知らない所……どこか遠い所へ」

はかせ「……なの」

なの「そして、2人で楽しく暮らしましょう」


ね?と明るく微笑みかけると、青ざめていたはかせの顔がしだいに綻んでいった。
そして、力なくなのの腕に収まっていた手をなのの背中に回し、強く抱きしめ返した。


はかせ「なの好き……」

なの「私も好きですよ、はかせ」

48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:39:19.59 ID:vOufE9kQ0
それからほどなくして、はかせとなのは東雲研究所と題した平屋に引越した。
そこには2人を知る者はおろか、はかせの研究を咎める者も苦言を呈す者もいない。
それどころか、2人を理解してくれる少女達が現れた。
なのに固執しを執拗に追い掛け回す不思議な教師に出会ったりもした。
はかせとなのは平和と幸せに満ち溢れた日々を過ごした。



やがてはかせは成長し、大人になり、立派な女性になった。
と言っても、相変わらず絵を描くのは好きだし、坂本さんが亡くなった日には子供のように泣き腫らした。
なのはそんなはかせのもとで、いつまでもはかせに奉仕し続けた。



そして……それから数十年後。

52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:47:09.09 ID:vOufE9kQ0
ガラガラガラ


?「ごめんくださーい」


なの「はーい!只今ー!」タッタッ


外国人1「コンニチワ」

外国人2「オジャマシマス」

通訳「失礼します」

なの「ど、どなたですか……?」

54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:48:39.28 ID:vOufE9kQ0
通訳「初めまして、東雲なのさん。
   私どもはアメリカから参りました、ある研究チームです。
   東雲さん、カーネギー・メロン大学はご存知ですか?」

なの「え……かーねぎー……?」

なの(……えーっと)

なの(何かの本で読んだような……なんだっけ)

なの(うーん、思い出せないや)

なの(興味がないことはすぐ忘れちゃうんだよなぁ……)

通訳「……あぁ、突然の訪問では驚かれますよね。失礼致しました」

なの「あ、いえ……と、とりあえず立ち話もなんなので、どうぞ上がってください」


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:50:52.39 ID:vOufE9kQ0
なの「えーっと、じゃあ私、お茶を淹れて参りますので、こちらで寛いでいてください」

通訳「これはどうも、お気遣いありがとうございます」

なの「いえ……」タタッ

なの(かーねぎー……めろん……うーん、なんだっけ)

なさ(この辺まで出てるんだけどなぁ……)

57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:54:07.93 ID:vOufE9kQ0
なの「……」コポコポ

なの「…………あぁっ!」

なの(思い出した……!)

なの(カーネギー・メロン大学って、確か、ロボットの研究をしてて……)

なの(アメリカ最大規模のロボット研究所とか言われてるところだ……)

なの(ど、どうしてうちに……まさか、私がロボットだということを知って?)

なの(たたた、大変だああ!)

なの(……いや。でもどうして、今更?)

なの(だって……だって、はかせは、もう)

なの(もう、この世にはいないのに)

なの「……」コポコポコポコポ

なの「あ、いけない、こぼれちゃった」アセアセ

59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 18:58:07.59 ID:vOufE9kQ0
なの「お待たせしました……粗茶ですが、どうぞ」

通訳「いやこれはどうも。わざわざすみません」

外国人1「oh,japanese green tea!」ズズズーッ

外国人2「トテモオイシイデス」

なの「き、恐縮です……」

通訳「……それで、東雲なのさん」

なの「はいっ!」

通訳「私どもは、東雲さんにあるお話があってここに参りました」

なの「……はい」ドキン

60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:00:18.76 ID:vOufE9kQ0
通訳「単刀直入に申し上げます」

通訳「私どもは、とある技術者が集う会議の結果、あなたを、非常に研究価値のあるロボットだと判断致しました」

なの(や、やっぱりこの人達、私がロボットだと知って……)

通訳「これほど精密で高性能な作品を、私は知りません」

通訳「そして、何より」

通訳「あなたほどのものを発明できた技術者……」

通訳「これほどまでに優秀で貴重な科学者は、後にも先にも、世界中どこを探したとしても、決して存在しないでしょう」


なの(!)

61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:02:50.44 ID:vOufE9kQ0
通訳「あなたを発明した科学者が、世に出ず世界でも全く無名だとは、とても信じがたいことです」

通訳「その科学者は、本来ならば、世界中から称賛され敬慕されるべきであり」

通訳「人類始まって以来の偉人として、名を残すべきです」

通訳「あなた方を世に埋もれたままにしておくことが、私達人類にとってどれだけの損失になるか……」

なの「……」


話を聞きながら、なのは自分の体が震えてくるのを感じていた。

62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:05:09.25 ID:vOufE9kQ0
なの「……どうして」

通訳「?」

なの「どうして……もっと早く来て下さらなかったんですか」

通訳「え?」

なの「そんなこと……私に言ってどうなるっていうんですか」

なの「どうして……」

なの「どうしてはかせが生きてる間に来てくれなかったんですか!?」

63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:05:58.47 ID:vOufE9kQ0
通訳「し、東雲さん……?」

なの「どうして今の言葉を私じゃなくはかせに伝えてくれなかったんですか!?」

なの「どうして誰もはかせにそう言ってくれなかったんですか!?」

なの「どうしてはかせは何も知らないまま、あんなに小さい時に……あんなに傷付かなきゃいけなかったんですか」

なの「どうして……何なんですか今更っ……!」

通訳「……」

外国人1「……」

外国人2「……ティシュー、ドウゾ」

なの「す、すみませんっ……」

65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:10:04.40 ID:vOufE9kQ0
通訳「……東雲さん」

なの「すみません……取り乱して……もう大丈夫です」

通訳「あなたを発明された科学者――はかせさんは、もう、いらっしゃらないんですか?」

なの「……5年前に他界しました」

通訳「そうでしたか……辛い話をして申し訳ありませんでした」

なの「いえ……」

通訳「あの、はかせさんはお一人で他界されたのでしょうか」

なの「え?」

通訳「はかせさんに、配偶者はいらっしゃいましたか?」

66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:11:34.12 ID:vOufE9kQ0
“配偶者”


その言葉を聞くと、なのは涙を拭き、目を閉じた。
そして一呼吸おいてから、感慨深げに言った。



なの「いましたよ」

なの「はかせは他界するまで、ずっとその方と同棲していました」


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:14:50.31 ID:vOufE9kQ0
通訳「それで、その方は?」

なの「……今はもう亡くなっています。はかせより年上でしたから」

通訳「……そうですか。お悔やみ申し上げます」

外国人1「humm…I am sorry for your loss.」
    (えーと……お気の毒に)

外国人2「ゲンキダシテクダサイ」

なの「……ありがとうございます」

68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:15:57.04 ID:vOufE9kQ0
なの「あの、通訳さん」

通訳「はい?」

なの「皆さんは、私をアメリカに持ち帰りたいんですよね?」

通訳「……出来ればそうさせて頂きたいところです」

なの「申し訳ありませんが、それは叶いません」

通訳「何故ですか?」

なの「私は、はかせに造られました。はかせのお世話をするために、はかせに命を頂きました」

なの「私は言わば、お世話焼きロボットです」

なの「私には、その命を全うする義務があります」

通訳「しかし、はかせさんはもう、この世にはいらっしゃらないんですよね?」

なの「確かにそうです。でも、その代わりに……」

なの「はかせは死ぬ間際、私に新しくお世話をする対象を作っていってくれました」

通訳「……それは、つまり」

通訳「はかせさんのお子様、ということでしょうか」


69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:18:27.36 ID:vOufE9kQ0
なの「……いいえ」

なの「はかせは、あの方とは正式に籍を入れませんでした」

なの「事実婚という形だったようです」

通訳「? 何故籍を入れなかったのですか?」

なの「……それは」

なの「日本では……法律上、籍を入れることが出来なかったからです」


そう言うと、通訳さんはハッとした表情になり、頷いて見せた。
なのはそれを見て、どうやら察してくれたようだ、と安堵した。
話の分かる人で良かった。

71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:21:21.95 ID:vOufE9kQ0
通訳「つまりはかせさんは、世話を焼く対象を、本当に“作った”わけですか」

なの「ええ。今は子供ですが、次第に成長してゆくそうです」

通訳「凄い技術力ですね……」

なの「それがそうでもないんですよ」

通訳「と言いますと?」

なの「はかせったら、普通の子を遺してくれれば良かったのに……」

なの「あの子、お菓子よりカップ麺が好きだったり、変な所で抜けてたり、急に恥ずかしがったり、本当におかしな子なんです」


なのはそう言って、楽しそうに笑った。

72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:26:19.27 ID:vOufE9kQ0
通訳「……なるほど」

通訳「もう1つ、伺ってもよろしいでしょうか」

なの「なんですか?」

通訳「はかせさんとその方は、どういう経緯でお付き合いをして、同棲に至ったのでしょう?」

なの「……それって、調査のひとつですか?」

通訳「あぁいえ、ごめんなさい。個人的な興味です」


通訳さんはほんの少し茶目っ気を帯びた笑顔を浮かべた。
なのはそれを見て微笑み、懐かしそうに目を細め、話した。

73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:32:31.36 ID:vOufE9kQ0
なの「あの人達には、共通の話題がありましたから……きっとそれで意気投合したんでしょうね」

なの「その話題を、残りの人生全てを使って、共有していました」

なの「はかせのことを、あんなに褒めちぎって心服していたのは、あの人だけだったんじゃないかな」

なの「はかせはとても……とても幸せそうでした」


その口調は、まるでそれが自分自身の幸せであるかのようだった。

74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:35:00.56 ID:vOufE9kQ0
通訳「共通の話題……同じ趣味を持っていた、ということでしょうか」

なの「うーん、同じ趣味というより」

なの「最も気にかけているものが、2人とも同じだった、って感じですかね?」


そう言うと、恥ずかしそうに笑った。


通訳「……そうですか」

通訳「どうやら、私達が付け入る隙は無さそうですね」

なの「……すみません、わざわざ来て頂いたのに」

通訳「とんでもない。なかなか良い話を聞かせてもらいましたよ」

76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:38:26.47 ID:vOufE9kQ0
通訳「では、私どもは撤収させて頂きます」

なの「ご足労をおかけしました」

通訳「いえいえ。急に押しかけて、失礼致しました」

外国人2「オジャマシマシタ」

外国人1「Happy ever after.」

なの「えーっと……さようなら、じゃなくて、しーゆー?」

通訳「ふふ」

通訳「Happy ever after.
   いつまでもお幸せに、だそうです。
   それでは、Say hello to your kid for me.」
         (お子さんによろしくね。)

77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:43:24.58 ID:vOufE9kQ0
“いつまでもお幸せに”

通訳さんの言葉が胸に響く。


なの(はかせ)

なの(あなたの研究は、決して無駄ではなかったようです)

なの(はかせ……はかせは、幸せでしたか?)

なの(私は、あなたと一緒にいられて、とても――)

78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:45:38.73 ID:vOufE9kQ0
なのが感慨に浸っていると、居間の戸が開く音がした。


「なの、おはよぉー」

なの「あっ、おはようございます!」

「? 誰か来てたの?」

なの「ええ、ちょっとお客様が。たった今帰られましたよ」

「ふーん」

79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/10(火) 19:47:46.90 ID:vOufE9kQ0
なの「……あの、今日なんですけど、一緒にペットショップに行きませんか?」

「えーどうしてー?」

なの「黒猫さんを飼いたいなぁと思いまして」

「黒猫?なの、黒猫さん好きなの?」

なの「ええ、好きですよ。それに……」


なの「あなたの両親は、2人とも、黒猫さんが大好きだったんです」



青い短髪に長い白衣を着た少女に、なのは優しく微笑んだ。




~終わり~

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