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ともこ「私の役割と揺れるこの気持ち」

2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 20:28:05.09 ID:HGDJ7hyQ0

この世には「役割」というものがある。
それは社会や集団から発生するのか……、それとも積み重ねられた行為から発生するのか……、
詳しく話し出すと社会学や「鶏と卵」のような話になってしまうから、ひとまず置いておこう。

とにかく、この世に「役割」をもたない人間はいない。
それは人が生来持つものではないが、社会を生きる上では欠かせないものなのだ。

お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん
サラリーマン、自営業、学生、子供、社長

大雑把に考えただけでも、数えられないほど多くの「役割」がこの世に溢れている。


さて、ここで子供に注目してみるとしよう。
白紙状態で生まれてくる子供は、社会に適応すべく「役割」を自らに取り込み始める。
それらの端緒は「ごっこ遊び」に見られる。
彼らは「ごっこ遊び」を通して、母親になり、父親になり、先生になり、時にはヒーローになる。
こうして大勢の反応をトレースし統合することにより、子供はやがて社会全体の規則と形を知る。

人には親切にしなさい。
人を傷つけてはいけない。
嘘をついてはいけない。

こういった具合に。
こうして社会を知った子供たちは、自分の「役割」を模索し始めるのだ。
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 20:30:07.32 ID:HGDJ7hyQ0

この子供の「役割」に最も大きな影響を与えるのが両親だ。
社会を知った子供は、一般的に自分の両親の中に己の「役割」を求めようとする。
親の望みを、親の期待を、小さきその身に受け止めようと努力するのだ。

もしも、親の望む理想像をインプットできなければ親子関係は歪になるだろう。
もしも、親の望む理想像に押しつぶされてしまえば子供は壊れてしまうだろう。

そう、この作業には子供の一生が掛かっているといっても過言ではない。


だがしかし、このことを明確に理解している親はそういない。
何故なら、彼らもまたこの世の「役割」に振り回される幼稚な操り人形だからだ。

だからこそ、彼らはいわば「条件つきの愛」を驚くほど気軽に子供に与えようとする。

○○する○○ちゃんは好きだな
○○する○○ちゃんは嫌いだよ?

しばしばこれらのメッセージを利用して、
親が子供の人生を束縛し支配しようとすることがある。
それでも、子供は欲求を閉じ込めてでも、
親の望む「よい子」の「役割」を果たそうとするだろう。


やがて息苦しさに耐え切れなくなる、その時まで……。



5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 20:32:16.68 ID:HGDJ7hyQ0

私の最も古い記憶は、両親の喧嘩から始まる。
その原因なんてとうに覚えてないが、
時期的に考えてちなつが傍に居なくなっていた頃だろうか。
部屋に響きわたる怒号の中でビクビクしていた少女、それが私だった。

両親は私が寝静まってから喧嘩を始めているつもりだったようだが、
それは流石に子供を甘く見すぎというものだろう。
子供は発展途上であっても驚くほどに敏感で、
時には大人並みの複雑な悩みや思考を持つのだから。

勿論私も家庭内の不和には気がついていたし、
私の前から消えた妹もそのことに関係していると予測もしていた。

大人の常時放つ怒気は意識せずとも私に負担を与え、
気が付けば私は不眠症になっていた。
そのことが両親の関係を解きほぐし、
結果的に和解に導くことになるのだから、何とも皮肉なことだが。

「子は鎹」

昔の人はよく言ったものだ。
両親は何食わぬ顔で放置していたちなつを呼び戻し、
私たち一家はとりあえず以前の生活に戻った。

振り回された私とちなつを置き去りにしたまま……。


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 20:34:24.64 ID:HGDJ7hyQ0

時は春。
雪解けも過ぎ去り、心地よい風がそっと頬をくすぐっては消えていく。
少しずつ底冷えする朝は減り、鳥や虫の活動も活発になった。
TVでは桜前線の情報が流れ、お花見の映像がひっきりなしに伝えられている。
そんな中、私は高校生になるための通過儀礼なるものの真っ最中だった。

「新入生の皆様、ご入学おめでとうございます」

こんな式に何の意味があるのだろう。
区切りだから、決まりだから、慣例だから、人それぞれに回答はあるだろう。
だけども、その中に他者の受け売りではない、
本当の自分の回答が出来るものがどれだけいるだろうか。

「新入生代表、赤座あかねさん」

「はい」

こんな式に何の意味があるのだろう、ずっとそう思っていた。
けれど、この瞬間、

私の中で入学式という通過儀礼は、彼女との出会いという意味を持った。


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 20:38:23.86 ID:HGDJ7hyQ0

自慢ではないが、私は俗に言う優等生だ。
品行方正、成績優秀、才色兼備、親族や先生方の評判もいい。

勉学は面倒なものではあるが、コツさえ掴めば後は時間をかければ結果が出るものだ。
全体像の把握、法則、重要点、これらを押えれば大抵のものには対応できるだろう。
勿論、手を抜くことを許すような親ではないので、毎日コツコツと続けている。
その結果、私が成績上位者となるのは必然であり、当然である。

又、学生の本分に加えて、親からも詰め込んでおけと酷い量の習い事を押し付けられ、
それでも、茶道、華道、裁縫、料理、薙刀、弓道、美術、舞踊、音楽、一通りはこなしてきた。
今も続いているものと言えば茶道と料理と華道くらいだけれど。


そんな私には友人というものはいない。
お互いの顔色を伺うだけの薄っぺらい社交を含めるなら、それなりの数になるだろう。
しかし私には「個人」としての時間はほぼ無く、誰かとの親交を深める機会はなかった。

私の人生は親の期待に応えるため、そして妹のために捧げた。
子は親の作品という発想は、恐ろしいことに田舎の頭の固い旧家においては割とあることだ。
私に続き、妹をその道を行かせるというのは忍びなかった。
だから私は、妹の分も成果を出すことを約束し、私が妹を背負うことを決意した。
両親もあれで末っ子は可愛いらしく、私の提案を受け入れた。

虐待にも近しい躾を受けてきた私としては、家督なんて継ごうが継ぐまいがどうでもいい。
私はただ与えられた「役割」を果たす機械、この事実はどう転んでも変わらないから。

学園において私の情報は既に広まっていて、見覚えのある顔が挨拶をしてくることもあった。
そういった場合には対処するが、基本的に受身なのが私の常だ。
相手の言動にインプット済みの特定の反応をすることはできるけれども、
いざ自分が主体となってアウトプットするとなると苦手だからだ。


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 20:40:42.20 ID:HGDJ7hyQ0

そういうわけで、普通家庭の一般生徒どころか、同類にさえも遠巻きにされているのは、
きっと、私自身の冷たさを周囲が感じ取っているからだろう。

もっとも、近寄られても鬱陶しいだけなので、それは私としてはむしろありがたいけれど。
私にはちなつがいればそれでいいのだから。
だから友人を作る予定は、これまでも、これからも、ないはずだったのだけど……。

あかね「吉川さん」

ともこ「なにかしら」

あかね「一緒にお昼、どうかしら」ニコッ

ともこ「……私で良ければ」

赤座あかねさん。
同じクラスの同級生にして、私を差し置いて新入生代表を飾った人。
私と違って落ち着きと包容力もあり、クラスが出来て間もないのにすでに人望も厚い。
ひょんなことから、私は彼女とお近づきになってしまったようだ。


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 20:42:58.82 ID:HGDJ7hyQ0

~回想~


入学式も終えたというのに、私の心は浮ついたまま落ち着かない。
どうしてか、新入生代表の挨拶をしていた人の姿が、頭から離れないからだ。

家の都合で、様々なベクトルの美しさを持った人を見てきたけれど、
あの人に対するほどに興味を惹かれることはなかったように思う。
彼女の場合、容姿も確かに優れていたけれど、
それ以外の何かが私の心の琴線に触れるのだ。

ちなつ「熱はないみたいだけれど」ピトッ

自分の体調管理はできているし、妹の分まで完璧に把握しているつもりだけれど、
それでも自分の高熱を疑ってしまうほどに、今の私は私らしくない。

ともこ「さて、私のクラスは何処になるのかしら」

しかし、さっきから歩くたびに、周囲の目線が目障りだ。
何か言いたいことがあるなら、私に直接言いに来たらいいのに。
罵倒や嫌悪ならば対処もできるが、まるで動物園の動物を観察するような……。
彼女たちの視線からは、そんな居心地の悪さと息苦しさを感じる。

ともこ「ここね」ガラッ

私の到着は早かったらしく、教室の中の席は空席が目立つ。
机配置は出席番号順のために、私は一番後ろの席になるようだ。
吉川の姓は正直嫌いだが、こういう時には有り難味を感じてしまう。


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 20:45:32.08 ID:HGDJ7hyQ0

ともこ「綺麗ね……」

運がいいことに、私の席からは敷地の桜の古木がちょうど見えるようだ。
この学園は名門なだけあって、そこそこの樹齢を重ねた綺麗な木が多いようだ。

休み時間には散歩をしてみるのも、案外楽しいかもしれない。
とりあえず、クラスが揃うまでは行儀悪く頬杖をついて、
はらはらと散る桜を鑑賞するとしよう。

時期外れなものを愛でて、楽しみは静かに執着しない程度に抑えるという意見がある。
感性に絶対なんてないけれど、
私は楽しめるものを素直に楽しめないのはひねくれていると思う。
少なくとも、風に揺れる桜の花びらに心躍らない人なんていないと思うのだ。

どうにも合理主義的な私には、
日本のそういう曖昧な伝統が、性に合わないような気がしている。

ともこ「…………」ヒラヒラ

植物は好きだ。
人と違って、静かだから。
植物は好きだ。
人と違って、私に「役割」を求めないから。
桜は好きだ。
人と違って、散る姿まで美しいと思えるから。

西行法師が「願わくは花の下にて春死なん」と詠った気持ちも、何だか分かるような気がする。


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 20:47:43.26 ID:HGDJ7hyQ0

ガヤガヤ

にわかに教室のざわめきが大きくなった。
ようやく先生の登場かと、視線を桜から教室の入口へと動かす。

ともこ「あ……」

教室の入口から入ってきたのは、新入生代表の赤座さんだった。
緩やかになびく赤みがかった長い髪が、とても綺麗だと思った。


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 20:50:06.97 ID:HGDJ7hyQ0

ガヤガヤ ガヤガヤ

年頃の乙女という奴は、よくもここまで五月蝿くできるものだ。
女が三人で姦しいと書くが、さもありなん。

興味惹かれるあの人がいなければ、桜の木がなければ、
先生の到着を待たずに保健室にでも避難していたかもしれない。
そんな出来もしないおかしなことを考えてしまう。

ともこ「…………」チラ

ともこ(背筋が真っ直ぐに伸びているのは、何かのお稽古の影響かしら)

真っ直ぐに背筋を伸ばして行動することは、簡単そうでなかなか難しい。
彼女は厳しい躾を受けたか、舞踊や武道の修練を積んだと考える方がいいだろう。

ともこ(他人に興味を惹かれたのはいつ以来だろう……)

私とちなつは、半ば依存関係にあると言える。
私たちは人の温もりを求めて、姉妹で強固に繋がったから。
そんな排他的な私が他人に興味を持つなんてまさしく晴天の霹靂だ。

ともこ「…………」チラ

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。
見れば見るほど、憎たらしくなるくらいの美人だ。


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 20:52:18.53 ID:HGDJ7hyQ0

ガラガラ

先生「静かに」

三十路に差し掛かるくらいの年齢のこの女性が、私たちの担任ということらしい。
気難しそうで些か憂鬱な気分になってしまうが、今まで通りに振舞えば害はないだろう。

ともこ(先生も来たことだし、赤座さんの自己紹介に期待しましょうか)

高校生活というのも想像よりは悪くない、そう思うのだった。



先生「では次の方、どうぞ」

あかね「私の名前は赤座あかねです」

あかね「趣味……といっていいのか分かりませんが、妹の世話を焼くことを楽しんでいます」

あかね「皆様これからの一年、よろしくお願いします」

ともこ(妹の世話が趣味……?)

ともこ(意外と変り種ということかな)

ともこ(結局、妹がいることくらいしか分からなかったわね)

まぁ一年もあるのだ、ゆっくりと観察していけばいい。
この胸の不調も、あの人のことも。


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 20:55:07.10 ID:HGDJ7hyQ0

入学式とクラスの紹介も恙無く終わり、ホームルームも終了、皆下校中だ。
私も早く帰ってちなつの相手をしてあげたいのだけど、
少し気になることがあって、教室を動けずにいる。

あかね「」キョロキョロ

ともこ(明らかに何か困っている……ようね)

ともこ(Thou shalt love thy neighbour. )

汝の隣人を愛せよ。
久方振りの他者への親切とやらを実践してみましょうか。

ともこ「何かお困りなことでも?」

あかね「あら、吉川さん、であっていますか?」

ともこ「ええ、合っているわよ、赤座さん」

どうやらこの優等生、記憶力もなかなかに優れているようで。

ともこ「何か私に力になれることがあったら、遠慮なくどうぞ」

近くで見ると長い睫毛がお人形さんのようで、きめ細やかな肌は雪花石膏のような白さだ。
今は未熟だが、あと二,三年もすれば、本当に多くの男性を虜にすることになるだろう。


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 20:57:31.22 ID:HGDJ7hyQ0

あかね「実は、肌身離さず持ち歩いたお守りを落としてしまったみたいで……」

ともこ「ひょっとして、妹さんの作った、ですか?」

あかね「……御慧眼、恐れ入ります」

赤座さんは少し驚いた様子を見せた。
そんな仕草も堂に入っているのだから、美人はお得だ。

ともこ「マイペースそうなあなたが、そんな表情をしているのだから」

ともこ「そうでないか、と思っただけよ」

ともこ「それから、そのお守りなら、あれがそうじゃないかしら?」

朱色の袋にたどたどしい刺繍が入った小さなお守り。
教卓の隅にポツンと存在している。

あかね「あら、本当!」パタパタ

ともこ「見つかってよかったわね」クスッ

これほど饒舌に話してしまうなんて、本当に今日の私は調子がおかしい。
赤座さんといると、自然と会話を続けていたくなる。そんな、抗えない魅力を感じるのだ。


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 20:59:47.18 ID:HGDJ7hyQ0

あかね「ありがとう、吉川さん」

ともこ「どういたしまして」

他者からの御礼というのは、心のこもった感謝の念というのは存外に気分がいいものだ。

あかね「ところで、どうして朝から熱心に私を見ていたの?」

……突然な質問に、息が止まるかと思った。

ともこ「……ッきゅ、急にどうしたの?赤座さん」

あかね「ああ、気を悪くされたらごめんなさい、ただ純粋に気になっただけのことですから」

ともこ「……いつから気がついていたの?」フゥ

あかね「実は最初の方から」ニコニコ

ともこ「……えっ?」

あかね「吉川さんもそんな顔なさるんですね」ウフフ

あかね「大人びた方だと思っていたから、少し意外です」

この人は笑った顔も素敵だ……。いや、そんなことを考えている場合じゃない。


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:02:17.29 ID:HGDJ7hyQ0

ともこ「そんなに、わかりやすかったかしら?」ゴホン

あかね「もしも他の方なら、分からなかったかもしれません」

あかね「種明かしをすると、実は私もあなたのことが気になっていたのです」

ともこ「わっ、わたしを?」

少々意外だ。彼女からしたら、私に接点や興味を持つ機会なんてなかったはずだ。

あかね「私以外にも、随分と人目を引いていらっしゃいましたよ?」

あかね「凛として、とても綺麗な方が、桜を物憂げに見つめていた訳ですから」

あかね「クラスがとても騒がしかったでしょう?」

私が見られていた?廊下の視線もそのたぐいのものということだろうか。

ともこ「桜は、好きだから……」

ともこ「それから、私が……綺麗というのは何かの誤解ではないかしら……」モジモジ

あかね「いえ、綺麗ですよ」

ともこ「ぅ……」カァァ///

さらりと気障な台詞を吐く彼女の空気に、呑まれそうになる。


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:04:27.42 ID:HGDJ7hyQ0

ともこ「だ、大体、クラスの騒ぎの原因はあなたじゃなくて?」

ともこ「新入生代表、赤座あかねさん」

あかね「……その影響も否定はできませんね」クスッ

ともこ「ほら、みなさい」フフン

あかね「」クスクス

ともこ「何かおかしかった?」ハテ

今の私の台詞には笑いどころがあっただろうか。

あかね「ごめんなさい、ただ私の人を見る目も当てにならないと思いまして」

あかね「気位が高い人だと予想していたのですが、でもたった今、印象が変わったわ」

あかね「あなたはとっても可愛い人のようね」ニコニコ

ともこ「かっからかうのは、やめてください……」ドキッ

私ともあろうものが、翻弄されてしまった。
つけた仮面を剥がされて、ただ彼女の思いのままに、その掌の上で転がされる。
本来は屈辱的なことのはずなのに、それどころか心地いいと感じてしまう自分が怖い。


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:06:54.98 ID:HGDJ7hyQ0

ともこ「妹が帰りを待っていますので、私はこれで失礼します」プィ

ここから早く離れなければ、私の何かが変わってしまう。
胸の異変の原因はわからないけれど、きっとそれは現在の私の消失を意味する。
私は逃げるように立ち去ることを選んだ。

あかね「そう、吉川さん」

あかね「また、明日会いましょう」

私の背中にそっと赤座さんの優しい声が届いた。


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:09:07.32 ID:HGDJ7hyQ0

~回想終了~


ともこ(そして翌日になるわけだけど)

ともこ(早速向こうから接触を図ってくるとはね)

この学校には食堂もあるが、私はお弁当を作って持ってきている。
そして、それは向かいに座る赤座さんも同様なようだ。

ともこ「いただきます」

あかね「あら、礼儀正しいのね」

ともこ「挨拶はすべての物事の基本だから」

……貧すれば鈍する、清貧に甘んじる。
どちらが正しかろうが、挨拶がその人自身の人となりを作り上げていくことは疑いない。

自分の考えは言葉となり、自分の言葉は行動へと姿を変える。
自分の行動はやがて習慣になり、自分の習慣は人格を形成する。
そして自分の人格、それこそが自分の運命になるのだから。
少なくとも私はそう思う。

あかね「挨拶は基本、いい言葉ね」

ともこ「単なる祖母の受け売りよ」

あかね「素敵な方なのね、いただきます」クスッ


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:11:35.10 ID:HGDJ7hyQ0

ところで食事というものには、その人の育ちや家庭状況が如実に現れる。

例えば箸の扱いに限っても、掴む、切る、刺す、乗せる、寄せる、押さえる、
実に様々な用途がある。

又、箸には「嫌い箸」というタブーな使い方がある。
ねぶり箸、そら箸、 刺し箸、迷い箸、探り箸、重ね箸、
移り箸、わたし箸、かきこみ箸、寄せ箸、などがそれにあたる。

これらの「嫌い箸」に配膳、食器の扱い、ものの噛み方、食事のペース、姿勢、
様々な食事上のマナーが組み合わされるのだから、習得には多くの時間を要する。

これら食事のマナーを躾られているということは、家柄の良さや裕福さを表す。
これらが子供に負担を強いる教育であることは確かだが、
同時に親にも忍耐を必要とするからだ。

赤座さんの食事は驚くほどに滑らかで無駄がなく、
食器の擦れるような音すら聞こえない。

箸で物を掴む様は優雅ですらあり、
彼女がハイソサエティーの人間であることを私に確信させた。

作法の完成した人の動作というのは、一種の芸術品に似ている。
私はそう思うのだ。


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:13:42.16 ID:HGDJ7hyQ0

「「ご馳走様でした」」

色々と考察している内に、お互いに食事を終えることとなった。
やはり示し合わせたかのように、ほぼ同時に食べ終わることとなった。

あかね「まるでお手本のように綺麗な作法だったわ」

どうやら、私が彼女を観察していたように、彼女も私を測っていたようだ。
彼女の基準によれば、私は合格の水準にあったということか。

ともこ「スパルタ式で仕込まれたから」

あかね「あら、穏やかじゃないわね」

あかね「けれど、躾なんて何処の家でも手厳しいものなのかもしれないわね」クスクス

あかね「私も色々とやっていた、もとい、やらされていたわ」

やはり彼女も幼少期からかなり仕込まれた、ということだろう。


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:16:02.25 ID:HGDJ7hyQ0

ともこ「嫌でも自分のためになると分かっているから、逆らう気にもならないものね」

私の場合には、逆らうという選択肢自体がなかったけれど。

あかね「そういう時は相手を困らせてしまえばいいのよ」

ともこ「困らせる?」

生まれや境遇は共感できるようでいて、やはり彼女の考えは上手く読めない。
これほどに型にはまらず、底が見えない同年代と会ったのは初めてだ。
理解したいと思ったのも……初めてだ。

あかね「甘えることや我侭を言うことは、私たち子供の特権ですもの」

ともこ「面白い考え方ね」

あかね「きっと私の考えの方が、一般だと思うのだけれど」

彼女は心外そうな目でこちらを見る。

ともこ「そういうものかしら」

そういえば甘えるという行動を最後にしたのは何時だったか……。

思い出せない……。


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:18:13.42 ID:HGDJ7hyQ0

あかね「あなたは今まで、ずっと誰かに甘えられずに生きてきたのね」

この人に同情のような、憐憫のような、そんな目を向けられると、何だか面白くない。

あかね「ごめんなさい、無神経な台詞だったわ」

私の顔色が変わったことを察してか、彼女は自分の発言を謝罪した。

ともこ「気にすることはないわ」

この苛立ちは赤座さんには関係のない、私にもわからない何かから生じているものだから。

ともこ「私はお花摘みに行ってくるわ」スタスタ

何故か赤座さんの落ち込んだ顔を見ていられなくて、私はその場を離れた。


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:21:09.60 ID:HGDJ7hyQ0

~体育館~


お昼の次の授業は体育だ。
オリエンテーションをかねて、柔軟や団体行動の練習をすることになるらしい。
クラス自体のまとまりを作るためのカリキュラムといったところか。

ともこ(だからこういう授業は嫌いなのよ)

二人組を作るように言われたものの、社交性にかける私に声をかける者はおらず、
又、声をかけてくれるような人にも心当たりもない。

ともこ(面倒なことだし、一人でやりましょうか)

このクラスは偶数で欠席もないのだから人数が余るはずはないが、
そんなことにわざわざ気を遣う気にはならない。

相手が組みたがるなら組めばいいし、そうでないならどうでもいい。
先生に組めと言われれば組めばいいし、
組まなかった理由を聞かれれば煙に巻けばいい。

そんなわけで、一人でのんびりと柔軟を始めた私の肩を叩いたのは、
やはりというべきか、赤座さんだった。


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:23:20.82 ID:HGDJ7hyQ0

あかね「あなたって、度胸がおありなのね」

ともこ「そうかしら」

あかね「堂々と孤高を貫くことができる人なんて、そうはいないと思うわよ」

ともこ「箱庭の訳もわからないルールに従うのが癪なだけで」

ともこ「単に遅れてきた反抗期のようなものよ」

仕方のない人ですね、そんな苦笑を頂戴してしまった。
普段は何を言われようが気にしないが、
この人に苦笑されると何だか申し訳ないような意識が出てしまう。

あかね「何だか先生やクラスメートの視線を受けていることですし」

あかね「とりあえず私と組みませんか?」

ともこ「あなたがそれで構わないのなら」

あかね「ええ、勿論よ」

私はこの人に気に入られたのだろうか。
この人なら、私なんて選ばなくても、望むままに相手が見つかるだろうに。
わざわざ私を選ぶなんて変わった人だ。


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:25:42.47 ID:HGDJ7hyQ0

先生「これを二人で仕舞ってきてくれるか?」

先生「体育倉庫に放り込んでくれればいい」

ともこ「……分かりました」

授業中の罰のつもりか、コーンの片付けを押し付けられてしまった。

ともこ「私がやっておくから、あなたは帰って先に着替えていて」

あかね「あら、片付けを頼まれたのは私もよ?」

ともこ「そもそもの原因は私にあるのだから、あなたが片付けをする必要はないわ」

彼女にまで私の責任を押し付ける気は毛頭ない。
だが、赤座さんは私の言葉を無視して、片付けを始めてしまった。

ともこ「人の話……聞いていたの?」

あかね「二人なら早く終わらせることができるってお話?」

分かっているだろうに、そんな惚けた返答をされた。
これは意地でも先に帰る気はないということだろうか。

ともこ「……そっちを持って」

別にほだされた訳じゃない。
熱を帯びた気がする頬も、ざわつく胸も、きっと気のせいだ。


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:27:46.88 ID:HGDJ7hyQ0

~体育館倉庫~


あかね「この辺でいいのかしら?」

ともこ「多分ね」

あかね「もう少し分かりやすく整頓すればいいのにね」

確かに、体育倉庫の中は様々な器具が乱雑に転がり、
使われない気の毒な道具は埃を被っている。

こんな場所に何となく物寂しさを感じるのだから、
私の感性は変わっているのかもしれない。

ともこ「早く教室に戻って着替えましょう」

着替えと次の授業の準備を考えると、時間はあまりない。

カチャ

ともこ「……今、不吉な音がしなかった?」

まるで鍵がかけられた音のように、聞こえた。


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:29:53.42 ID:HGDJ7hyQ0

あかね「……確認してみるわね」

流石のこの人も、こういう時には焦るようだ。
真剣な眼差しは、彼女の本来の雰囲気のようなものを感じさせる。

ガチャガチャ

あかね「閉じ込められてしまった、みたい」

ともこ「そうね」

赤座さんは難しい顔をして、扉を開けようと試行錯誤しているが、
上手くいっている様子はない。

あかね「えらく落ち着いているのね」

一先ず自分の力で開けることに見切りを付けたのか、動かない私へ質問をしてきた。

ともこ「命に別状はないから」

どうせホームルームまでには担任が異変に気づくだろう。
ただ万一明日までこのままだとしたら、家で私の帰りを待っているだろう、
妹のことが少し気掛かりだけれど。

ともこ「…………妹さんのことが心配?」

きっと、この人がこんなにも一生懸命なのは、誰かのためなのだろうから。


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:32:12.74 ID:HGDJ7hyQ0

あかね「それはあなたも同じじゃないかしら?」

あかね「気が付いていないの?とても悲しそうな顔をしているわ」

質問を鸚鵡返しにされた。
年の割に自分を強く持つあの妹のことを、心配する気持ちは確かにある。
けれども、この虚無感にも似た諦観は、私の心の問題なのだ。
だからこれは、きっと、妹を心配してのものではない。

ともこ「私は貴方みたいに出来た姉であり続けられないわ」

おかしなことを口走っている自覚はあるが、止められない。

ともこ「貴方が愛情ゆえに妹さんを心配しているなら」

ともこ「私のそれは義務感のようなものだから」

私は姉だから、あの子を守らなければならない。
あの子のためなら、この身を尽くしてでも。

あかね「…………そう」

体育館倉庫に静寂が響く。

そんな中で、私にしか聞こえない、私の心臓の音は少し不規則に鼓動し、脈打つ。
しっとりと汗ばんだ肌に、確かに人のぬくもりを感じる。
甘い、柑橘類のような爽やかな匂いが、私の鼻腔をくすぐる。


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:34:30.99 ID:HGDJ7hyQ0

ともこ「……急に抱きしめて、何のつもり?」

もしかして、彼女は単にそういう趣味の人だったのだろうか。
だとしたら、興醒めも甚だしい。

あかね「そのままではあなたは壊れてしまうわ」

あかね「だから私が甘えさせてあげる」

私が壊れる?この人は何を言っているのだろう。
同級生に甘えるなんて、私のちゃちなプライドが許容しない。
いや、そもそも甘えること自体、私にはとんと縁のないことだが。

ともこ「大きなお世話……」

けれども、私の否定は弱々しく唇を震わせることしかできなくて。

あかね「幸せのおすそわけ、といったところだから気にしないで」フフ

あかね「あなたは、ありのままのあなたでいいのよ?」ニコッ

優しく微笑む赤座さんは、モナリザの微笑みよりも美しかった。
それは私に美術のセンスが余りないこともあってだろう。
けれど、美しいと思った。


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:36:32.71 ID:HGDJ7hyQ0

ともこ「けれど、施しを受けるだけなんて……」

驚くことに私はこの状況に悪い気分ではないらしい。
そっと赤座さんの背中に腕をまわしてみる。

妹と違って、壊れ物のような印象は受けず、しなやかな体が官能的だと思った。
もっとも、私もこの人も女なのだから、そんなことになんの意味もないが。

あかね「もし御返しがしたいなら……そうね、名前で呼んで頂戴」

あかね「敬語混じりの変な会話も止めましょう。」

そういえば、所々タメ口をきいていた気がする。

あかね「それから、私と友達になってくれる?」

友達になろう、なんて誘いは久しぶりに受けた。
子供っぽい言い回しになってしまったためか、赤座さんも少し恥ずかしそうだ。

あかね「少し欲張りすぎたかしら?」ウフフ

その中に貴方が得をすることなんて、何もないじゃないか。
何とも露骨な気遣いだけれど、不思議と気持ちが高ぶる。


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:39:06.17 ID:HGDJ7hyQ0

ともこ「足りないくらいね」クスッ

自然と顔が笑みを形作る。

ともこ「だから今度、茶の湯でも一緒にどうかしら」

ともこ「あなたをお持て成し、したいから」

友人を誘うのはこれが初めてだが、何か粗相をしていないだろうか。

あかね「喜んで」

人にありのままを認めてもらえるというのは、きっと得難い幸福なのだ。
ならば、私はその幸福を離さずに、大切にしていよう。

春の到来で姿を現したフキノトウのように、
私の心にある未知の感情が何だか少し理解できた気がする。
……私はこの人と一緒にいたいと、そう思うのだ。


静かな体育館倉庫の中で、縋るように抱きついたままの私を、
あかねさんの手がそっと撫でた。




おわり



49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:41:07.12 ID:HGDJ7hyQ0

おまけ


茶道というものは、実に奥が深い。
平たく言えば、湯を沸かし、茶を点て、振る舞う、ただそれだけだ。

しかしお茶の歴史を紐解くと、
権力と密接に関わっていた時代もあったりして意外と面白い。

今でこそ有り触れているお茶だが、昔は貴重品であり、嗜好品であった。
それこそ、お茶のせいで戦争が起きるくらいのものなのだ。


そんなお茶は、鎌倉の時代には闘茶という賭け事の場として機能していたこともある。
また、戦国の世には、茶器が城や土地と同様にその人や家の箔となり、重要視されていた。
これは政治や商売を上手く成功させる場として、茶道が機能していたことの証左だ。

公家、商売人、領主、こういった権力者の集まる茶会においては、
歴史を左右する選択が幾度も行われたというのだから、茶道もなかなか面白い。

もっとも、それも過去のこと。
現在の茶道の大元となるのは、詫び茶を大成させた千利休である。
千利休の完成させた茶道も、また複雑な分化の道を辿って現在に至るのだが、
それはもういいだろう。


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:43:09.16 ID:HGDJ7hyQ0

とにかく現在の茶道では、
作法の形式は大事だが、さりとて一番大事なものは持て成しの心。

そんな矛盾以外の何ものでもないと思うような考え方が一般的ではないだろうか。


相反する二者を昇華し、高みを目指すことが茶道の目的なのだろうか?
もしもそうだとするならば、私はそんな苦行は御免だ。

形式は形式、持て成しは持て成し、二者を始めから分けていれば、
そんな葛藤はきっと起こらない、そう思うからだ。


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:45:12.49 ID:HGDJ7hyQ0

ともこ「どうぞ」コトッ

あかね「ありがとう」

茶の湯の約束を果たすべく、赤座さんを家に招いた……のだけど。

ともこ「呆れた、茶道の知識すら備えていたなんて」

あかね「嗜む程度よ、私にはこんなに美味しいお茶は入れられないもの」

ともこ「あなたの超人ぶりには妬ましいというより、素直に敬服するわ」ハァ

この人は正しく万能人のような人だ。

ともこ「私はこれだけやり込んで、それでも茶の道の何たるかも分からないのに……」

私にとって茶道とは何なのか、
最近になって今まで目をそらし続けたその壁にぶつかったのだ。

ともこ「ごめんなさい、情けないことを言ってしまったわ」

私は丁度スランプ状態に陥っていた、愚痴として他者に口走る気もなかったけれど。
どうしてこの人には、言わなくていいこと、言うべきではないことまで、
つい口を滑らしてしまうのだろう。

せっかく一緒に遊んでいるのに、私はこの人を困らせたいわけではないのに。


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/13(日) 21:47:14.42 ID:HGDJ7hyQ0

あかね「そうね……」

あかね「私も正直、茶の湯の間延びした雰囲気には未だに慣れないわ」

あかね「でもね、茶道の作法は形式的ではあるけれど、その本質は相手への気遣い」

あかね「先生とワンツーマンでやっているとくだらない、そんなものでも、」

あかね「お友達と二人で楽しめるなら、それこそがきっと茶道の意義だと思うの」フフ

あかね「茶の湯ではお茶を立てる側も、お茶を頂く側にも、面倒な決まり事があるけれど」

あかね「あなたとなら、私はそれを楽しめるもの」ニコッ

心臓がトクンと跳ねた気がした。
私にとっての茶道とは、あくまでも私の「役割」の一部でしかなかった。
けれども、今の言葉で私の中の茶道というものが、見えたような気がする。

この人と一緒なら私は見失った「私」の役割を見つけることが出来るのではないか。
そんなことを思ったのだった。

おわり
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