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澪「本物の律はどこ…?」

3: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:15:26.23 ID:TWMYeFoLO
その日も、ほどほどの空調の中、ゆるい練習は行われていた。


律「よし!じゃ今日は練習終わり!解散!」

唯「ふーっ…久しぶりにいい汗をかきましたぜ…」

梓「…またろくに練習できなかったです…」

梓が不平をこぼしている。まぁ…確かに今日は通しで弾いたのが一回だからな。
…無理もないか。
…適当にフォローでも入れておくか。
4: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:16:47.07 ID:TWMYeFoLO
「でも最後の、結構いい演奏だったんじゃないか?」

梓「む、それでもお菓子食べてる時間が長すぎですー!」

梓も結構…喜んでのんびり食べていたような気もするが。



律「もーっ!ちゃんと練習するですぅー!」

梓「全然似てないですー!」

ごめんちょっと似てた。
というか無駄に似てた。
律のあの物まねスキルは…何で培ったものなんだろう。


唯「でもちょっと似てたですぅー!」

梓「唯先輩まで!?」



7: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:19:24.81 ID:TWMYeFoLO
律「うーし帰るかー!」

紬「ん…でもまだ結構外明るいのねぇ」

ふと窓の外を見ると、確かに外は明るかった。最近は昼が長いな。
まぁ…夏だしな

梓「なんか…普段以上に早く練習終わった感じですね…」

唯「…じゃあさ!せっかくだし、夜っぽくなるまで何かしてようよ!」

律「え?」

何か妙なことを言い出した。というかそもそも…下校時刻過ぎて残ってて大丈夫なのか…?

唯「それは大丈夫だよ澪ちゃん!」

何が大丈夫なのだろうか。
あ、でも確か見回りが…さわちゃんなのかな?今日は。

梓「で、何かって…何をするんですか?練習は…どうせしないでしょうし…」

律「んー…」

11: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:26:42.06 ID:TWMYeFoLO
律「あ、ひらめきましたー!」

パンパカパーンとか言いながら律がどや顔で言う。
これは…妙なもん閃いた顔だな。
私にはわかる。

唯「お!何が来ましたか!」

律「デコデコデコデコ…ジャーン!」

ゴクリ…

律「夏ということで…怪談会」

…え?え?
怪談…?
思わず、ひっ、と声が漏れる。
…割と普通に勘弁願いたい

「……冗談だよな?」

律「んもー怖がるなよー澪ー!…やりがいのある反応しちゃってぇ~…なぁ?」

唯「!」

紬「!」

梓「あー」

13: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:31:02.81 ID:TWMYeFoLO
なんだかんだで…怪談話をすることになってしまった…
どう目を盗んで帰ったものか。

律「ふふふ…帰れないぜー!…んまぁルールは簡単、一番怖い話をしたひとが勝ち!はい!ムード隊!」

紬「!」パチン

うわっ!
びっくりした!

「…い、いきなり電気消すなぁ!!」

ってかムード隊って何だ!

唯「おお、いい声だね澪ちゃん」シャッ


14: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:32:27.89 ID:TWMYeFoLO
完全なる闇が訪れた!
カーテン閉めるなああ!
暗い!暗い!怖い!
なにか、なんだ、みんなグルなのか?
私が怖いのダメなの知ってるくせに!

梓「…帰っていいですか」

「まってくれ梓!」
私も一緒に帰らせてくれ!

律「じゃー梓から!怪談どぞ!」

梓「えっ」



15: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:33:46.07 ID:TWMYeFoLO
律「優勝したら…そうだな、負けた者共からのスイーツの貢ぎ物が」

梓「…まぁ…とりあえず皆さん席に座りましょうか……ふ」

律「食いついたか」

…グッバイ味方…!
し、しかし暗い…何も…み、見えない
怖い怖い帰りたい
暗闇の恐怖は昔からだめなんだ…
帰りたい!無理!

唯「む、ならむぎちゃん、ロウソクに火を!」

紬「はい!」

律「用意が良い!さすが!」


16: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:35:00.76 ID:TWMYeFoLO
ふっと妙な光で部屋が照らされる
えええええ…
…ムード出まくりじゃないか!
駄目だって、絶対なんか出るって!

梓「そうですね、ムードとか出ますね」

律「澪、今帰ったら…後ろから」

ぎゃあああああ!!!
いやああああああ!!!




…とは言っても…
梓の話はどこか聞いたことのある話で、
次の唯の話はどこかメルヘンで
…むぎの話は支離滅裂で…
部屋が暗いこと以外は、思ったよりも怖いものではなかった。
…ところどころ私の悲鳴が交じったのは内緒だ。

で、私の順番に回ってきたけど、私はパス。
パス制度があるかは知らないけど…怖い話なんて、一つも知らないし、覚えていたくもないし…。

所詮は、女子高生の、軽音部の話す怪談話。
こんな風に、グダグダに終わるものと思っていた。

19: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:37:26.36 ID:TWMYeFoLO
でも最後の、律の順番になった時。
ロウソクの光で照らされていた律の顔が、ふっと、真顔になった。
ふ、雰囲気出てるじゃん。怖いじゃん。

律「…こないだ、もう一人の自分を見てさ」

「鏡でか。そりゃ怖いな。」

律「違ぇよー茶化すなよー…見た場所は、そこの大通りの交差点。」


…茶化すというよりは…帰りたい。
終わらせたい。ただひたすらに。なんか怖そうだし…!せめて電気を点けたい。

うん…しかし…律が冗談めかした顔で怖い話をする時よりも、何倍も怖いな。真顔は。

唯「知ってる…それブリックヴィンケルでしょ」

唯が口を挟む。
…それは全然違う上にかなりのネタバレだ。
それをいうなら…

梓「…それをいうならドッペルゲンガーです」

そう、それ。
梓に先をこされてしまった。
…ちなみに私としては早々にインゼルヌルに出たい気分だ。なんてネタは通じないか。…ちょっと無理があるし。

20: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:38:51.54 ID:TWMYeFoLO
律「そう、ドッペルゲンガー。最初は見間違いかと思ったんだけど…何日かに一編、同じ場所で見かけるんだ。…すぐ消えちゃうけど」

びくっ
なんか…怖い雰囲気が…怖い
怖い感じがする…
悔しいが怖い…気がする

紬「…確か…いつの間にか、自分がドッペルゲンガーとすり替わってるのよね」

律「まぁ…ドッペルゲンガーをほっとくと、自分がそいつに乗っ取られる…って良く言うじゃん?」

…!
聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない
聞こえない!聞こえない…

梓「確か乗っ取られない為には、そのもう一人の自分を殺すしかない、とか」

ひいいいいいいいいいい
いやあ!いやああ!聞こえない!聞こえない!

唯「…じゃあ…そのもう一人の律ちゃんを殺さずにほうっとくと…」

21: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:39:50.96 ID:TWMYeFoLO
律「本物の私が、そいつに殺されるんだな」

律「っていう話を聞いたような!」


嫌ああああああ!
嫌嫌嫌ああああああ!
ないないないって!
ないって!絶対ないって!


紬「3日間、ドッペルゲンガーが本人になりすまして行動して…誰にも見破られなかったら」

紬「ドッペルゲンガーが本人に取って代わる、つまり」

紬「ドッペルゲンガーに殺されて、そのドッペルゲンガーそのまま本人になりすまして生活する…」

紬「って話も聞いたことあるような!」



22: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:42:08.27 ID:TWMYeFoLO
唯「あ!私もその話聞いたことあるような!」

梓「あ、なら私もあるような気がしますね」

律「…じゃ事実か」

いやいやいやその理論はおかしい
ってか何で皆さんノリノリなんですか?
…みんなさっきまでとレベルが違いすぎないか…?段違いに怖いぞ…
頼む。早く終わってくれ…
…しばらく夜にトイレに行けそうにないな…

紬「…じゃあ」

紬「…今の律ちゃんは…ドッペルゲンガーかも知れないのね!」

…へ?

唯「…じゃあ」

唯「本物の律ちゃんは…殺されてるかも知れないんだね!」

ガタッ
う、思わず立ち上がってしまった
梓の冷ややかな視線が、私に送られている。
それから、空気が一変した。

23: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:43:40.19 ID:TWMYeFoLO
律「…なぁ、」

律「澪は人殺ししたことある?」

…ひっ!?
「い、いきなり何だ?」


律「ねぇ、」

律「澪はドッペルゲンガーって知ってる?」


え?
はっ!?
「…い、いや、今聞いたし!」


律「ねぇ、」

律「澪は…」

「ちょちょちょちょちょっと!ちょっと待って!」



25: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:45:04.15 ID:TWMYeFoLO
律「…?」

「なんで私にばっかり聞くんだよぉ!律!おい!やめろ!」
不気味すぎるからやめてくれ…


唯「…」

梓「…」

律「ねぇ、」

紬「…」

律「私、なんか変なこと言った?」

律「澪」

い、いやいや…はい?



26: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:45:50.27 ID:TWMYeFoLO
唯「…」

紬「…」

「な、なんだよ、みんな、見るなよ」
どうしたんだよ…

律「…?」

唯「…ぷっ」

梓「…すみません」ガタッ

紬「…ふふふ」

パッ

ぎゃっ!
わ!わ!わ!
…え!?
…あ…電気、点いた…


梓「…そろそろ帰りましょう」

律「…だな」




27: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:47:14.99 ID:TWMYeFoLO
いつのまにか梓はドアの前に立っていた。ロウソクの火は消えて、蛍光灯の光が部室を照らしている。

窓から外を見ると、日はとっくに沈んでいた。こんなに長い間…私たちは話してたのか?

律「よーし!じゃあ今度こそ帰るかぁ!」

唯「あー!もうこんな時間!憂が心配してるよぅ」

み、皆、いつものテンションに戻った…
…こ、ここの皆はドッペルゲンガーなんかじゃないよな?
な?

律「…んー?澪~、まさか、今の律はドッペルゲンガーかもー、とか思った~?」

いつのまにか梓はドアの前に立っていた。ロウソクの火は消えて、蛍光灯の光が部室を照らしている。

窓から外を見ると、日はとっくに沈んでいた。こんなに長い間…私たちは話してたのか?

律「よーし!じゃあ今度こそ帰るかぁ!」

唯「あー!もうこんな時間!憂が心配してるよぅ」

み、皆、いつものテンションに戻った…
…こ、ここの皆はドッペルゲンガーなんかじゃないよな?
な?

律「…んー?澪~、まさか、今の律はドッペルゲンガーかもー、とか思った~?」

31: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:49:57.26 ID:TWMYeFoLO
あんな話されたら仕方ないだろ!
「ち、違う!…思ってない思ってない!」
律「またまた~顔に出やすいわねぇ~澪ちゅわん!」

「ち、違うったら!」

紬「大丈夫よ澪ちゃん」

…何が大丈夫なんだよぉ…
とりあえず怖いことに変わりはないだろぉ…

梓「ドッペルゲンガーってのは、似てるのは姿形だけです」

梓「だからちょっと話せば、明らかにいつもと反応が違うんで、それでドッペルゲンガーだってわかるんです」

梓「…っていうか、殺される乗っ取られる云々のくだりは…普通に迷信レベルですから」

…最後、ずいぶんぶっちゃけたな…
怪談話にその締めくくりはタブーじゃないのか
…しかし、梓の言葉で私が落ち着いたのも事実だった。
「あ…だ、だよなぁ、迷信だよな!ははは!」

梓「…はい。ですから、精々自分のドッペルゲンガーに気をつけてください」

…梓まで…悪乗りするなよぉ…

32: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:51:15.97 ID:TWMYeFoLO
その日、律とはいつもと違う場所で別れた。
何故かはわからないが、誰もそのことに疑問を持たなかった。
普通に、本当に普通に、また明日なーと言って別れたのだ。
私は夜になってそのことに気が付いた。なんで律は、あんな場所で別れたのだろう。
…何か用事でもあったのだろうか。

…あ。
…あの野郎、何かの演出のつもりか?

…律と別れた場所は、律が自分のドッペルゲンガーを見た、と言った、あの交差点だった。


33: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:52:33.25 ID:TWMYeFoLO
次の日。
私は、昨日のドッペルゲンガーの話などすっかり忘れていた。
ドッペルゲンガーのことを忘れながら朝食を食べ、ドッペルゲンガーのことを忘れながら通学路を歩いている。

うぅ、やっぱり怖い。
…昨日あの後…律は平気だっただろうか。ドッペルゲンガーに襲われたりとかしてないだろうか。

いやいや!いやいやないない!
律の演出にまんまとハマってるぞ!
こんな心配してたら…また律にバカにされる。
ドッペルゲンガーのことは忘れよう。
だって、あんなのどう考えたって嘘じゃないか!迷信だよ迷信!


…でも私は、とりあえず、早く律の顔が見たかった。
だから、ちょっと向こうの方に、見慣れた律の頭が見えた時は…本当に安心した。

あいつ、今日は私よりも登校早いのか。

35: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:55:05.32 ID:TWMYeFoLO
近くまで小走りする。

「律ー!」

…う、叫びながらの小走りはちょっと恥ずかしい…。
でも…はやく律と話したい。律に会いたい。いやいや、別にドッペルゲンガーとかの心配はしてないぞ。なんとなくだ。なんとなく。

「…律ー!」

律「…」

…律は、ただ学校に向かって歩いている。…あれ、聞こえなかったのかな?もう少し近づいてみるか。

「律!」

ポンと肩に手を置く。

律「…」

…律は黙って歩いている。なんだ?シカトか?律?律?
人違い、なわけない。まさかドッペルゲンガー?
そんなことが一瞬で頭をよぎるが、すぐに否定する。これは律だ。律だ。

「律!…おーい」

肩の手を少し揺らす。顔を覗き込む。…律は、私の手を肩に乗せながら歩く。
…だんだん血の気が引いていくのが、自分でもわかる。ま、まさかな…?
…と、律がやっとこっちを向いた。

37: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:57:41.75 ID:TWMYeFoLO
律「へんじがない」
律「ただのドッペルゲンガーのようだ」

へっ!?
え?え?

律「…なーんちゃって♪」

あ………!…!

律「あれれ、突っ込みがないぞ!どうしたー!」

……この!おま、お前!この野郎!
若干本気で心配したんだぞ!
バカ律!

律「うぇ!?」

よ、良かったああああ…律~~~!

律「ば、ばか抱きつくなよ!大げさだな!」

恥ずかしがれ!罰として恥ずかしがれ!

律「わ、私がドッペルゲンガーに負けるわけないだろー!」

…うん…まぁ、そうだよな。考えてみたら、バカな話だ
そもそも、ドッペルゲンガーなんてものを…
信じた私がバカだ。でも、騙した律はもっとバカだ。

40: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 17:59:44.46 ID:TWMYeFoLO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

きっかけは、むぎの一言だった。

紬「…ドッキリってのをやってみたいわぁ」

唯「ドッキリ?」

梓「いきなりどうしたんですか?」

ナニナニするのが夢だったの~!
とか良く言ってるような雰囲気のむぎだが、今回は、なんつーか、随分微妙な憧れだな。


紬「大成功!とかいう看板に憧れるわぁ!」


うん。感性はわからん。
しかし…ドッキリ、か。まぁ誰しもやってみたい!という気持ちはある…と思う。
ちなみに澪は今掃除当番で、部室に来るのが遅れている。


紬「どう?りっちゃん!」

42: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:00:51.37 ID:TWMYeFoLO
いや、どうと言われても…。
…部長としてその願いは叶えてやらにゃならんな。

「もちろん、ドッキリさせられる側は澪だよな」

紬「うんうん」

ふ、
…ならやりがいがあるってもんよ!

「よし!作戦会議だ!」

紬「はい!」

梓「え、本気ですか」

唯「やるやる!やりたーい!」


44: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:02:50.71 ID:TWMYeFoLO
…会議において私たちが重視…というより、約束したのは、
①澪が傷つかないようにすること
②ネタばらしをしたときに、お互いが嫌な思いにならないこと
③どうせやるなら手の込んだものにすること

この3つ。

今まで澪のことはちょくちょくからかってきたけど、…これは史上最高のドッキリになる予感!


唯「澪ちゃんといえば…幽霊系のドッキリが反応良さそうだよね~」

そして…唯のそんな言葉から、会議は始まった




45: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:03:36.59 ID:TWMYeFoLO
そして、ものの10分ほどで、私たち4人の知恵の結晶、ドッペルゲンガードッキリ案が完成したのだ。
…もしかして私たち天才?
誰にも言われないけど。

…意外にも梓が率先して会議に参加していたな。
それとむぎ、澪の紅茶だけコーラとか、ベースの弦が全部無くなってるとかいうのは、ドッキリじゃなくてイジメだ。

梓「じゃあ…最終確認です」

いつの間にか仕切ってるのは梓。…澪に何か恨みでもあるのだろうか。
梓だけでなく、唯も、紬も。なんというか…
すごくやる気に満ちている…?



47: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:05:32.70 ID:TWMYeFoLO
梓「まず今日、自然な流れで、怖い話をする機会を作ります。で、その中で律先輩がドッペルゲンガーの話をします」

梓「で、翌日から、だんだんドッペルゲンガーに侵蝕される演技を律先輩がします」

梓「澪先輩が、律先輩が偽物で、ドッペルゲンガーに乗っ取られた!と信じこんだら私たちの勝ちです。ドッキリ成功、ネタばらし、と」

唯「じわじわ追い詰めるんだね!」

紬「まぁそもそもドッペルゲンガーって…微妙に違うけど」

「そこらへんの矛盾は無視!」
澪なら雰囲気で怖がってくれるさ!

梓「矛盾なんか気にならないくらい、脅かしてやりまっしょう!」

唯「おー!」

皆の一致団結…涙ぐましいね。
下手すりゃバンドの時よりも…
いやそれは問題だが。
…よし、部長の一言で会議を締めよう。

「このドッキリが成功するか否かは、ひとえにみんなの演技力にかかっている!頼むぞみんな!」

紬「おー!」

「早速今日の部活後、ドッキリ開始だ!」

梓「やってやるです…!」

49: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:07:26.33 ID:TWMYeFoLO
そして…わりと自然に怪談の流れにし、自然にドッペルゲンガーの話ができた。
…もちろんすべてアドリブである。緊張した…。
…むぎが「3日間」とか適当なことを言ったおかげで、少なくともこのドッキリは、3日以上の長期戦になった。

後は昨日、むぎ達が適当に作ったドッペルゲンガー像に則って…
だんだん私が、ドッペルゲンガーになればいい。
ここからは主に私の演技にかかっている。

…ドッペルゲンガーを信じたとして…
…澪は、私を助けてくれるかな。
それとも怖がって、私から遠ざかるかな。
助けてくれたら、そりゃまー嬉しいですけどー。

51: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:10:24.43 ID:TWMYeFoLO
そんなこんなで、その会議、その怪談の翌日。
通学路を歩いてたら…
…早速良い反応が見れそうな予感。
後ろから、澪が私の名前を呼びながら走ってくる。
恥ずかしくねーのかな。少なくとも…呼ばれてる私は恥ずかしい。

…ちょっと無視してみるか。
今の私は…ドッペルゲンガー度30%くらい?
いや、最初から100%でもいいのか?
まぁ、とにかく「いつもの律先輩と微妙に違う!っていうのを意識してください!」と梓に言われたので、それを忠実に実行しよう。


53: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:13:29.03 ID:TWMYeFoLO
澪「律!」

ポン、と手が私の肩に置かれる。
まだ、まだ無視する。
でも完全に無視してはいけない。程々のところで、適当に反応しなければただのイジメだ。
微妙に違う、田井中律。これを演じなければならない。
…これは結構難しいぞ。

澪「律!…おーい」

肩を揺さぶってきた。さらに少し顔を覗き込んでくる。
…五秒。五秒だけ無視して…反応しよう。
無視してごめんよ、という罪悪感が、微妙に生まれた。


55: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:14:57.02 ID:TWMYeFoLO
「へんじがない。ただのドッペルゲンガーのようだ」

澪「へっ!?え?え?」

おお、びびってるびびってる。
びびってる澪ちゅわんも可愛いですわよ。

「…なーんちゃって♪」

…うん。驚きの表情も絵になりますな。
んー…でも、ねぇ?


澪「あ………!」

「あれれ、突っ込みがないぞ!どうしたー!」

澪「……この!おま、お前!この野郎!若干本気で心配したんだぞ!バカ律!」

「うぇ!?」

私、罵倒の言葉の直後の抱擁フェチなんだよね。嘘でもない。
これはこれは。…これはこれは。

澪「よ、良かったああああ…律~~~!」

まさか泣いてんじゃないだろな。
見えないけど!
泣き顔も様になってるに違いないぞ!

57: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:16:04.85 ID:TWMYeFoLO
「ば、ばか抱きつくなよ!大げさだな!」

澪「恥ずかしがれ!罰として恥ずかしがれ!」

ちなみに恥ずかしくはないよん。
…さて。

「わ、私がドッペルゲンガーに負けるわけないだろー!」

ドッペルゲンガーは迷信じゃないよ…っていう、軽いアピール。軽いミスリード。
ってか…結構ドッペルゲンガー信じてるじゃん!
なんだーいけるじゃんか!

…んーちょっと普通の私を出しすぎたかな。
さて、…上げて、落とす。
今の私はドッペルゲンガーだから。
別れ際に、澪に微妙な疑問違和感を残しましょう!


58: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:18:30.36 ID:TWMYeFoLO
律「わ、私がドッペルゲンガーに負けるわけないだろー!」

…うん…まぁ、そうだよな
考えてみたら、バカな話だ
そもそも、ドッペルゲンガーなんてものを…
信じた私がバカだ

でも、騙した律はもっとバカだ


…うんでも、吹っ切れたかな!
律が無事で良かった…なんて、口にも顔にも出したくないけど。

この、バカ律!

律「うひゃ!二回目~!」

…二回も言ったっけ。覚えてないや
まぁ…私が勘違いしたのもあるし、もう責めまい。許した!
じゃあ律、また放課後、部室でな。

律「うーっし!…じゃあなー秋山ー!」

そう言って、律は走っていってしまった。
また放課後、部室でな。
…願わくば、律と。
元の、普通の律と。また放課後に。

60: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:22:03.00 ID:TWMYeFoLO

秋山、秋山、秋山。
律は私のことをそう呼んだ。
ただ一点の違和感。それ以外は律。

初めは、何かの冗談だと思った。
もしかしたら嫌われたのかとも思った。
まだからかってるのかとも思った。
でも違った。
澪と呼ばない。秋山と呼ぶ。
それ以外は、いつもの律。
話し方も、話す内容も、歩き方も口癖も、笑顔も。私の律。
でもその律は完璧でない。
私の好きな私の律は、澪って呼んでくれる律だから。

梓は言っていた。ドッペルゲンガーかどうかの見分け方は、言動だと。

…本当にドッペルゲンガーの疑いが出てきた。冗談じゃなく。
想像が、悪い方に悪い方に膨れる。
でも…幽霊は怖いけど、見かけが律の幽霊は怖くないぞ。

61: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:23:08.70 ID:TWMYeFoLO
私は…かけひきが得意ではない。でもなんとかして、律がドッペルゲンガーかどうかを確かめたい。

もしただ律がふざけてるだけなら、私がドッペルゲンガーを本気で疑ってたことを知られたくない。絶対にバカにされる。

もし今の律が本当にドッペルゲンガーなら、私に悟られたことを知られたくない。絶対に…なんだろう、何かされる。

そういえば、むぎ、言ってたな…
もし3日間、律がドッペルゲンガーだってことに気づかなかったら、本物の律が殺されるんだ。



62: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:24:41.00 ID:TWMYeFoLO
律とドッペルゲンガーがすり替わったのは、まだ昨日か今日だ。まだ丸2日以上ある。
ドッペルゲンガーかどうか、見極めなきゃな。

……なに本気で考えてんだろ

まぁ…ドッペルゲンガーなんて…最悪のケースだし。
…どうせ、律のいたずらだろうけどな!

さて、頭脳戦だ。
どうすれば、律が本物かどうか、演技なのかどうか、見分けられるだろうか。




63: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:25:48.35 ID:TWMYeFoLO
正直村と、嘘つき村の話を思い出した。
個人的にはかなり簡単な問題だ。

2手に分かれた道がある。一つの道は正直村に、もう一つの道は嘘つき村に通じている。

あなたは正直村に行きたい。だが、どちらの道が正直村に通じているのかわからない。
そこで、分かれ道に一人だけいる番人に、あなたは一つだけ質問をすることができる。

しかし、その番人が正直村の住人か、嘘つき村の住人かはわからない。
正直村の住人は、必ず本当のことを言う。嘘つき村の住人は、必ず嘘をつく。

どちらが正直村に通じる道か知るためには、どのように質問したらよいだろうか?

そうだ。所詮はこの問題の亜種だ。

これは、からかっている律との勝負。
騙してるドッペルゲンガーとの戦争だ。

64: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:27:50.69 ID:TWMYeFoLO
律がドッペルゲンガーであろうとなかろうと、私が疑ってることを知られたくない。
律の演技だったら恥ずかしいし、ドッペルゲンガーなら…多分危険だ。
どんな感じで…カマをかければ良いだろうか…?

とりあえず、今普段の律と違うのが、私の呼び方。
それから、昨日分かれた場所だ。

…幽霊は怖いはずなのに…やっぱりどこかでドッペルゲンガーなんて信じてないからだろうか
律との勝負と決めた時点で、少し楽しくなってきた。

…今に律の拙い演技を見破ってやるさ!




65: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:30:03.78 ID:TWMYeFoLO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

秋山、秋山、秋山。
私は澪のことをそう呼んだ。
んー!なんか新鮮!ちょっと興奮しなくもない。なんでだろ。
一度廊下ですれ違った時も、よっす秋山!
…ちょっとわざとらしかったかな…?

しかしあれだねー
澪の表情の固いこと固いこと。
…私にいつも向けられてた笑顔が無い。
つまらん!つまらん!

いや、でもこのドッキリはサウナ的要素があるんです。
澪を不安にさせて、不安にさせて、させまくって、ネタバラシ!最高の笑顔!
その笑顔が見たくてドッキリやってるんですわ。すわすわ。

律ー心配したんだぞーとか言ってのハグも有り。アリアリ!
…まぁどちらにしろ、今の私がつまらんのも、後の楽しみの為なのさ。

66: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:32:13.99 ID:TWMYeFoLO
そんなこんなで昼。
…たった一言、「秋山」と言っただけで、こうも不安な顔するもんかね。
おどおどしながら、澪が弁当に誘ってきた。
もしかしてイジメとかハブリとかと勘違いしてないだろな。

確かに今、今日は違う子と食べる予定なんだーとか言ったらそっちのラインで不安になりそうだな。
でも目的はドッペルゲンガーなのよー


「お!じゃー唯達も誘うか?」

澪「い、いや!あの、…今日は律と二人で…」

…これで頬でも赤くしてりゃタマランのだがなぁ。今の澪は何かこう…怯えてらっしゃる?

「…んまぁ、いいか。私の机でいいな?…いやー秋山と二人きりで弁当って、久しぶりじゃないか?」

澪「…そ、そうだな」

しかし、二人きりってことは、アレだな。
何か内緒の話がございまして?
これは、俗にいう、…カマをかけにいらした、とかいうやつですの?
…ならば言動には気をつけよう。ドッペルゲンガーファィッ!


67: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:34:08.23 ID:TWMYeFoLO
…しかし、その気合いは空振った。
てっきり頭脳戦的な言葉の駆け引きでも始まるのかと思って身構えていたら、なんだー?

澪は、黙々と弁当を食べ続けている。
…無言で弁当を食べ続ける二人。
つまらんなぁ。澪じゃないみたいだ。

…こっちから攻めてみるか。

「…なぁ、秋山ー?」

ピタッと澪の箸が止まる。地味にビビるなこれは。
一時の間があって、

澪「なぁ、律。なんで私のこと、秋山って呼ぶんだ?」

うおっ、いきなり来たか。
これは…演技の見せどころだな。





68: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:35:32.45 ID:TWMYeFoLO
「え?え?…秋山?」

澪「…普段は秋山なんて呼ばない」

普段は澪って呼んでる!って言ってこない辺り、出方をうかがってますね。はい。

「え、えーと…いつも何て呼んでたっけ…?なーんて…」

私ドッペルゲンガーだからワカリマセーン

澪「…秋山さん」

あ?あれ?
「え?」
あ、やべ声に出た。
…えーと…はい?

澪「私のことは、普段から秋山さんって呼んでた」



澪「…そんな、馴れ馴れしくなかった」

澪「…私以外の人は、下の名前で呼び捨てだった。」


70: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:38:49.94 ID:TWMYeFoLO
…ありゃ、嫌われたか?
あ、それとも…カマカケか。
だとしたら、大勝負に出たな。

さて…ドッペルゲンガーなら、どんな反応すっかなー

「…あ、ああ、そうだった!そうだったな!ごめんな!秋山さん!」

うえーあと3日間も秋山さんとか呼ばなきゃいかんのか。つらい。

澪「………じゃ、また放課後な、律」

「お、おう…」

弁当を片付けて席を立つ澪、真顔版。
…澪は律って呼んで、私は秋山さんって呼ぶのって…どんな関係やねん。

いやーしかし緊張した。
もし「…下手な演技はやめろ律」とか言われたら、絶対白状してたと思うわ。

…さて…澪以外の人は、下の名前で呼び捨て、ね。
これも澪なりに考えた、トラップなんだろーなー。

71: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:40:44.33 ID:TWMYeFoLO
「わり!今日ちょっと用事あっから先帰るわ!」

唯「えー!そうなの~?今日はモンブランだよモンブラン!」

放課後。私は先に帰ることにした。
…唯は意外と演技派だな。

澪「…まぁ色々あるんだろ。律にも…」

ほぉ、ちょっと珍しい反応ざんす。
ちなみにモンブランは惜しいざんす。
でも…ドッキリ成功の為にゃ仕方あるまい。

紬「じゃあ、また明日ね」

「あぁ、んじゃ!」
…よろしくーとは言わないが。

紬達にはメールで作戦を伝達済みだ。
うまくやってくれたまえ。

私もわざわざあの交差点で別れて遠回りして帰るのは面倒だし。
私抜きの部室という、澪が色々相談できる場所が必要だろう。

72: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:42:46.13 ID:TWMYeFoLO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「…どうする、律いないけど、練習するのか?」

唯「まぁまぁ、ゆっくりケーキ食べながら考えよー!」

紬「じゃあ、今お茶入れるね」

唯「ど、どうしようねぇ、モンブラン一つ余っちゃうねぇ?」

「…じゃんけんでもするか」

梓「えー私じゃんけん弱いから嫌ですー」

…こいつらは、律が変だってこと、気づいてるんだろうか。




73: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:44:40.45 ID:TWMYeFoLO
「な、なあ、みんな」

少し大きめの声を出してみる。
むぎは…なんとかティーを淹れつづけているが、唯と梓はこちらを向いてくれた。
…いきなり本題に入ろう。

「…今日の律、何か変じゃなかったか」

………
しばらくの間がある。
え?という顔。キョトンとした顔。

唯「えぇー?何がー?何か変だったー?」

梓「…私は今日は会ってませんから…。」

唯「…そういえば何で先帰っちゃったのかなー?珍しいよねぇ?」

…そうじゃない。もっとこう、振る舞いとか、喋り方とか、微妙な嗜好の差とか…。

梓「…何か変だったんですか?」

気づかないのか…?
あんなに変だったのに。
あんなに普段の律と違うのに。
具体的に…は、言えないけど。秋山って呼んだり。秋山さんって呼んだり。
…でもまぁ、それだけか。それだけなんだけど…

74: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:45:41.15 ID:TWMYeFoLO
まぁ、いいんだ。唯と梓は良いんだ。
…問題はむぎだ。
午前中、律とどのように皆が接していたかは知らない。
知らないが…もし、もし午後にむぎと律が会話してたら。
…単なる演技でふざけた律なのか、本物のドッペルゲンガーなのかが…わかるんだ。

「…なぁ、むぎはどうだ?何か…律に変なとこ、なかったか?」

聞くのが、怖い。ある意味答え合わせだ。

紬「あ…そういえば…今日の律ちゃん、ちょっとおかしかったかも。」

ドキドキする。不思議だ。怖いはずなのに、ニヤニヤしそうだ。全然嬉しくないのに。すごく怖いのに。

紬「…さっき私、教室で律ちゃんに」


紬「ツムギ、って呼ばれたの。」

75: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:48:53.35 ID:TWMYeFoLO
…そうなんだ。
もし、「秋山さん」の時みたいに、私の言ったことを鵜呑みにするなら、
むぎのこと、「つむぎ」って呼び捨てにしたはずなんだ。


私をからかって私の前だけで演技するならわかる。
私の前でこれ見よがしにむぎのことをツムギって呼ぶのもまだ理解できる。
でも…私の見てないところで、ドッペルゲンガーの演技をする理由は、無い。


紬「何かの遊びかな?って思って…特に何も言わなかったけど…」

「…な、なぁ、むぎ、お前、律とグルか?」

もうこれしか可能性が残ってない。
頼むよ、もう私をからかうのはやめてくれ。

紬「え?」

「みんなで私を騙してるんだ。そうだろ?」

律は、たった一人でイタズラを仕掛けるような奴じゃないんだ。

76: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:50:59.68 ID:TWMYeFoLO
紬「澪ちゃん」

紬「…ごめんなさい。澪ちゃんが何を言っているのか、…わからないわ」

そんな。
じゃあ律がむぎに向かって、ツムギなんて言った理由は何だ。
律は、一人でみんなにドッペルゲンガーの演技をしてるっていうのか。
たった一人でみんなを理由もなく騙してるっていうのか。
そんなわけないだろ。

「…そんなわけないだろ!!」

部室が、凍り付いたのがわかる。
私は…一気にまくしたてた。

「…むぎ!何でそんな変な律を見ておいて、そんな平然とお茶なんて淹れてられるんだよ!?」

そのままの勢いで、唯を見つめる。
唯がビクッとするのがわかる。

「…お前もお前だ!律があんなに変なのに全然気づかないなんて…それでも同じ部活の仲間か?それでも友達なのかよ!?」

77: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:53:14.20 ID:TWMYeFoLO
三人が、怯えながらも困った顔でこっちを見てる。
若干の間の後、唯が口を開いた。

唯「み、澪ちゃん、実は」

梓「ゆ、唯先輩」

お前らの言い訳なんて聞きたくない。
お前らの言い訳で律が助かるわけでもない。
…いいさ、お前らが律の友達じゃないなら、私が、ひとりで、律を助けてみせるさ。
…私は鞄を掴み、足早に部室を去った。

唯「あ…」

紬「澪ちゃん!」

うるさい。
うるさいうるさい!

79: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 18:58:36.59 ID:TWMYeFoLO
…その後どうやって帰ったのか、よく覚えていない。
ただただ、あの交差点を通らないように、それだけを考えて帰った。
本物の律を探しながら。偽物の律の視線から逃げながら。律のことだけ考えて、ひたすら歩いた。
今もあの交差点には、律がいるのだろうか。
本物の律は、どこにいるのだろうか。
もう殺されたのだろうか。
…いや、まだ3日間、経っていない。
そうだ。長く見積もっても、明日にドッペルゲンガーをどうにかすれば、絶対に間に合うんだ。

…不思議と、怖いとは思わない。
あの律が偽物だとわかった今、私は恐怖よりも使命感に支配されていた。

思い出せ。一昨日に聞いた、ドッペルゲンガーの、対処法を。

80: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 19:00:01.18 ID:TWMYeFoLO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


今日は思った以上にドッキリが進んだなぁ。
たった1日、しかも呼び方変えただけで、こんなに効果があるものなのか?
やっぱり…ツムギってのが効いたのかな。澪側から仕掛けた罠ですけど。

むぎからの電話によると、澪は相当取り乱しいたようだ。半ば八つ当たりのようなことをわめき散らし、挙げ句練習せずに帰ってしまったらしい。
もちろん、私を心配する故。
私を心配する澪、見たかったなー

…しかし、むぎと梓と唯は、可哀想だからもうやめよう、とかいう意見らしい。
なんで?可哀想?可愛いじゃん!
罪悪感なんか…ちょっとしたエッセンスじゃないか。

81: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 19:02:28.06 ID:TWMYeFoLO
いいよいいよいいですよ。
可愛い澪は、私だけのだし。ひとりでできるもん!

…しかし…けいかくより、ずっとはやい!
私たちは、やはり天才であったのだろうかね。
フィニッシュさえ決まれば完璧だ。
ネタバラシの後、泣き笑いで抱きつく澪!私たちの友情は、深まるのであった。


あ…ドッキリ成功の看板作ってない。
すまん!許せ!むぎ!

今日は…慣れない演技して、異様に疲れた。

私と澪の未来に、おやすみー





82: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 19:04:48.27 ID:TWMYeFoLO


「おっはよー秋山さぁん!」

バシーンと澪の肩を叩きながら、今日も全力でドッペルゲンガーだ。
昨日とは違って登校路で会わなかったので、教室で、わざわざ。
昨日の練習どうだった?とか聞いてみたい。けどボロが出そうだからやめました。はい。

澪「…おはよう」

…いやーに落ち着き払ってらっしゃる。私のことドッペルゲンガーだと思ってるなら、もっと怖がっても良いだろうに。

澪「ねぇ、律」

なんでらっしゃいますかー澪さん

澪「今から、部室に、ちょっと来てくれないか」




83: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 19:06:54.84 ID:TWMYeFoLO
「え」

来た。来た来た来た来た来た来た。来た!
これはおそらく、絶対!

お前ドッペルゲンガーだろーっ!ババーン

ってやつじゃないか!?
ど、どうしよう、今私たちのドッキリが、成就しようとしています!

「え、なんで?…まぁHRまで時間あるから…別にいいけど…何か話があるなら、今言えば」

早めに来て良かったですわ!すわすわ!

澪「…いいから。お願い」

「は、はぁ…」




84: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 19:08:31.03 ID:TWMYeFoLO
ああもう、正直に言って、早く終わって欲しかった。ドッキリが成功すれば勿論良いけど、それ以上に、澪と今まで通りに、会話したかった。ティータイムもしたかった。
うんうん。私も、澪に依存していたんだなぁ。たった1日。たった1日ドッペルゲンガーになっただけで、こんなに辛いとは。

…ドッキリ成功の瞬間、むぎ達には見せてやんねー!
あいつら、降りたし!可哀想とか言って降りたし!
あと、泣いて喜ぶ澪を慰めるのは、私の仕事だし!


そんなこんなで、部室に来た。
もちろん二人きりで。

いろんな意味で緊張する。

87: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 19:13:09.77 ID:TWMYeFoLO
澪「下手な演技は、やめてくれ」

あ…
あれ?…ばれた系のアレですか?
…おっかしーなー

「…あはは…ばれちゃいまし、た?」

澪「当たり前だろ。何年間律と友達やってると思ってるんだ」

「…そっか、こっちも演技するの、疲れちゃったんだよねー」

しかし、澪さん、いつもの呆れた表情と違いますわね。
なんかこう、…怒ってらっしゃる?

澪「…律は、どこだ」



89: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 19:15:53.31 ID:TWMYeFoLO
はい?

澪「本物の律は、どこなんだよぉ!」

…あれ?あれ?
あ!そっち?そういうこと?
…じゃあ…ドッキリ成功じゃないですか?

澪「変な幽霊に、これ以上律の真似させたくないんだよぉ!」

「あ、いや違う。私!私がドッペルゲンガーの演技を」

澪「うるさい!黙れ!黙れ!」

…澪さん?
その、何を

あ。

「う…み、澪…」

…あーあ、言っちゃった。
最期の最期に、言っちゃった。



91: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 19:18:51.79 ID:TWMYeFoLO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

目の前には、ドッペルゲンガーが転がっている。
ドッペルゲンガーも、血とか流すんだな。
ドッペルゲンガーに果物ナイフが効くかどうか知らなかったけど、…効いたみたいだ。

そうだ。ドッペルゲンガーを殺さないと、律が殺されるんだ。
誰も気づいてやらないから、私が殺さなきゃいけなかったんだ。

…幽霊なんだから、死んだら消えろよ。
いつまでも、人間のフリなんかするなよ。
部室にこんなもの、置いておけないだろ。



92: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 19:19:57.97 ID:TWMYeFoLO
…息切れが止まらない。
この私が、幽霊退治なんてな。

本物の律の居場所。これから探そう。
律、待ってて。

早退しよう。今日は。
律を見つけよう。



とりあえず、この気持ち悪い幽霊から、遠ざかろう。


私は、誰にも見つからないように、足早に学校を出た。



94: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 19:23:11.80 ID:TWMYeFoLO
あ、鞄、置いてきちゃったな…でもまぁ、律のが先だ。
速歩きで着いたのは…あの交差点。
…一番怪しいの、ここだもんな。

って…あ、あれ?
あそこにいるの、絶対律だよな?
律だよな?律だよな?

「律!律ー!」

律のシルエットが、こっちを向く。ほら、律だ。

「おい、律!無事だったのかよ…律!」

私は今にも泣きそうだ。律の方に向かって、思わず走る。律に抱きつきたい。今すぐに。私、私、頑張ったんだよ。
律のドッペルゲンガー、殺したんだよ。

律「あ…ありがとう」

「ば、ばか!心配させるなよー!」

思わず、抱きついた。久しぶりだ。律だ。…いつの間にか、涙だ出ている。

律「本当に、ありがとう」

律「ありがとうな、秋山。」

95: ◆Ritsu.baZ6 :2010/08/14(土) 19:25:23.33 ID:TWMYeFoLO
終わりです。ありがとうございました。
誤字脱字すみませんでした。
まさかオチで
涙だ出ている
とか書くとは思いませんでした
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