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勇者「……………………」

1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:04:08.50 ID:hjWtO24mO
私は勇者だ。名前はまだ決めてない。今日は記念すべき日だ
王様「良く来てくれたな、勇者よ」
勇者「……………………」
王様「今まで我が国からは勇者の子孫達が魔王を倒すべく旅に出た。だが、まだ誰も魔王を倒していない」
勇者「……………………」
王様「そこでだ。我が国に残った、最期の子孫であるお主にも魔王を倒すべく旅に出て貰う事が決まった」

勇者の子孫は私を含めて7人は居た。残りの6人がどこで油をうっているのかは知らないが迷惑な話だ

王様「行ってくれるな?」

少々この国には心残りがあるのだが王様には逆らえない。
とりあえず、ハイとだけ答えておこう

3 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:06:07.91 ID:hjWtO24mO
王様「おお!行ってくれるか!!なら、早速酒場に行って仲間を集めて旅立つのじゃ!!」

勇者「……………………」

私は知っている。旅立った6人の勇者達は王様から、武器やお金を貰った事を……

王様「えぇいっ!!さっさと行かんか!!」

どうやら私には王様からのプレゼントはないようだ。まあ、仕方ない



4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:06:57.41 ID:hjWtO24mO
勇者母「そうかい、あんたも旅立つのかい」

家に帰り床に伏せている母に、王様とのやりとりの一部始終を多少の脚色をして話した私は、年老いた母の顔を眺めていた。
母がこんな状態になってから、長い時が過ぎた。私がこの国を出る唯一の心残りだ。


勇者母「あんたには苦労かけたね。私のせいであんたは旅立つ権利は貰えないと思ってたんだけど王様はしっかり理解してくれてたんだねぇ」

脚色のおかげで、私に土下座して頼みこんできた事になってる王様は、私の目から見たら無能だ。

何故、私を旅立たせるのか。
私の家は勇者の血を受け継いだ者とは思えないぐらい貧しかった。勇者が身につけるべき全ての学問を私は何も習ってはいない。


勇者母「そうだ……引き出しの中にお金があるから持っていきなさい……何かの役に立つ時が来ると思って貯めていたの」

私は引き出しの中を覗いた。30000G入っていた。

ふむ……私が母の為にバイトして母に渡していたお金も合計すると30000Gぐらいだった気がする。

勇者母「気にしては駄目ですよ。あなたには本当に迷惑をかけましたからね。そのお詫びです」

私は母に良くお礼を言って30000Gを手にいれた。




6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:09:14.55 ID:hjWtO24mO
酒場にやってきた。
王様は私にここで仲間を探せと言っていたが、団体行動が性に合わない私は迷っていた。
果たして仲間は必要なのか。仲間を連れて旅をする事は自然な事なのか。
ふと気が付くと酒場の店主が値踏みする様に私を見つめている。

店主「おう、俺がこの店のマスターだ。兄ちゃん、仲間を探してるんだろ?」

ふむ……まあ、仲間を連れて行くのもアリかもしれない。連れて行かない理由もない、というのが主な理由だが。

店主「まあ、大体めぼしい奴らは他の勇者達が連れて行ったんで対したヤツはいねぇがまあ我慢してやってくれ」

むむぅ……


8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:10:01.25 ID:hjWtO24mO
私は無料サービスのサラダとコーヒーミルクを注目して、店主の案内に従って地下へ居た。

店主「まずは魔法使いからだ」

魔法使いと言えば、ほんの少しドジで目がウルッとした微乳の女の子と言うのが世間の常識だ。
まあ、六人の勇者達の売れ残りだから巨乳でも我慢しよう。
妥協点を見つけた私は、サラダを口に放り込んだ。

店主「じゃあ、紹介するぜ!!生まれながらの魔法使いにして、大天才!!全ての魔法を覚えた魔女っ娘!!では、ご登場下さい!!」


軽快なリズムと共に深い帽子を被ったスリムな女性が出てきた。微乳だった。

私は密かにガッツポーズした。


魔法使い「どうも~魔法使いでーす!今年で20歳です!!」

勇者「………………」

深い帽子を捨て去った魔法使いは、200歳ぐらいの婆さんだった。



9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:12:17.31 ID:hjWtO24mO
婆さんの乳は微乳ではなく、垂れてるだけだったのだ。

魔法使い「じゃあ、ヨロシク~」

店主「ハイ、魔法使いさん仲間入り~」

いや、ちょっと待て!!私はまだこの婆さんを仲間にするとは言っていない………

店主「ハイ、じゃあ次!某道場の跡取りであり、無冠の帝王!!武闘家さん!!いらっしゃ~い」

どうやら婆さんの仲間入りは決まってしまったようで、店主はどんどん話を進めていく。

軽快なBGMと共に武闘家が登場した。

私の前に現れたのは、いくつもの死線を乗り越えた様なするどい目つきと鋼の様な身体を持った、武闘家になる為に生まれてきた様な男だった。

武闘家「ヨロシクお願いします!!」

その声は、大分ソプラノが効いていて高かった。


10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:14:08.53 ID:hjWtO24mO
店主「じゃあ、最後は僧侶さん!!」

婆さんが私の隣で私のコーヒーとサラダを食べながら、パチパチと拍手をしだした。武闘家もそれに習い拍手を始める。

店主「神にスカウトされて、自らが死んだ時には自分の体を全て寄付する事を約束した、僧侶の中の僧侶!!」

私は密かに期待していた。魔法使いが玄関先でチェンジされるレベルのハズレだったのだ。僧侶との甘い旅を夢みてもおかしくない。
傷付いた私を天使の様な笑顔で癒やし、時にはその乳房に私の顔をうずめてくれたりするそんな僧侶が理想だ


僧侶「ウィ~ック!!あんたが、俺様を逃がしてくれんの?借金まみれの俺様だけど、ヨロシク」

僧侶は、泥酔していた




11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:17:25.94 ID:hjWtO24mO
魔法使い「まあまあ、嫌だよこの子は。ゼイゼイ言っちゃって!勇者ってのは、もやしっ子でもなれるのかい?」

婆さんが私の背中の上で喚いている。婆さんは、国を出た途端腰を痛めた為仕方なく、私が背負う事になった。
モンスターとの闘いになった場合は、こういったやむを得ない事情で武闘家と僧侶に任せる事になる。

僧侶「オェ~ッ」

武闘家一人に任せるとしよう。



13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:20:25.71 ID:hjWtO24mO
スライムがあらわれた!

勇者「……………………」

私は素早く武闘家に命令した。命令内容は、『早急に殺せ』だ。

武闘家「……………………」

むっ?武闘家の様子がおかしい。
武闘家に気をとられ油断していた私の顔面にスライムが体当たりしてきた。

魔法使い「あらあらまあまぁ。どうしたもんかねぇ…くらぇっ!!火炎魔法!!」

婆さんがスライムが居る所とは見当違いの場所に魔法を放った。
火炎魔法は私の左耳をかすめて草むらで吐いていた僧侶の背中に被弾した。

武闘家はファイティングポーズをとった状態で全然動かない。

勇者「……………………」

我がパーティーはここで全滅するかもしれない。

16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:24:48.71 ID:hjWtO24mO
我々は逃げ出した。



武闘家「実はボク、暴力が嫌いなんです」

武闘家の告白は意外なものだった。小さな頃から道場で、自分の父親の稽古を受けていた武闘家は、暴力とは痛いものだと学んだ。

武闘家「他人から暴力を受けるのは平気なんですが暴力を振るうのは苦手になってしまって」

過剰な教育というのは時に、期待していた方向とは逆の方面へと作用する事もあるらしい。
人間の期待値は必ずしも良い方向には作用しないものだ。

誰からも期待されず大した教育も受けて居ない、初期の回復魔法を覚えるので精一杯だった私はその点心配いらない。
分相応だ。


武闘家「そんなボクですが……なんでもします!!荷物持ちでも、パシりでも!!だからこのチームに置いて下さい!!」



17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:28:55.29 ID:hjWtO24mO
魔法使い「あんた、これ上げるから連れて行ってあげなよ」

婆さんから貰った飴を舐めながら私は考えた。

荷物持ちとパシりをする武闘家を探していた訳じゃないんだが……。

僧侶「オェ~ッ」

魔法使い「アレよりはマシさ」

しょうがない。婆さんの言う事も一理ある。私はとりあえず、ハイと答えた。



18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:34:31.48 ID:hjWtO24mO
さて、スライム一匹倒せない我がパーティーは(私が婆さんをおぶっていたのも一つの失敗だった)最初の国へやってきた。

僧侶「うぉ~っ!!カジノとかねぇのかな?この国…。とりあえず、100万ぐらい借金してカジノで二倍にすれば……」

僧侶がうわ言のように何かいっている。

この僧侶、回復魔法は一回1000G、復活魔法は5000Gなどとぬかしはじめた。
初回は無料らしく、スライムに体当たりされ鼻血を出した私に回復魔法を使ってくれた。
私が自分の作戦ミスと、運の悪さを呪いガタガタ震えていたのを見て、

僧侶「おいおいスライムぐらいで、ビビんなって!!」
と酒臭い息で励ましてきた。勘違い野郎だが、回復系魔法の腕はたいしたものだと誉めておこう。



19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:40:57.53 ID:hjWtO24mO
この街では巨大な牙を持つ虎が暴れていたらしい。
らしいと言うのは、第一の勇者がその虎を見事に倒していたせいで、私自身がその虎に遭遇する事がなかったからだ。
実に残念だ。うむ、残念だ。
我々は宿に着いた。

魔法使い「あら~あんた、良い力加減でマッサージしてくれるわねぇ」

武闘家「ありがとう御座います」

彼はマッサージ師に転職した方が幸せかもしれない。
少なくとも、ギャンブラーに転職しかけている彼よりはマシだろう。

武闘家「そう言えば僧侶さんが居ませんね」

魔法使い「あの子は賭場へ出かけたよ。バカねぇ、あの子は私が若い頃に好きだった男も丁半博打が好きで…………」

武闘家「勇者さん、僧侶さんを探しに行きますか?」

今日は疲れた。ゆっくり休みたいのだ私は。いいえと応えてベッドに横になった。



20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:45:20.04 ID:hjWtO24mO
結局、私達は僧侶を探す事になった。いいえと応えたにも関わらず、武闘家は何度も何度も「そんな事を言わずに!!僧侶さんを探しますか?」と聞いてきたのだ。
魔法使いの婆さん私の背中でヨダレを垂らして眠っている。

武闘家「あ!あそこがカジノです!!」


21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:52:36.63 ID:hjWtO24mO
カジノのBGMで婆さんも起きたみたいだ。カジノの店員に「花札は無いのかい?七並べは出来ないのかい?」と聞いてマジックを要求したりしていた。

武闘家「僧侶さん居ますかねぇ……」

なんとなく、カジノに着いてから嫌な予感がつきまとっていた。
僧侶なんか見つからなくて良いから、早く出たい気分だった。
勇者Ⅳ「あれ?勇者Ⅶじゃね?」

嫌な予感とは、大体的中するものだ。



22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:54:39.40 ID:hjWtO24mO
勇者Ⅳは、第四の勇者として街を出たヤツだ。顔面に体当たりしてくるスライムの100倍嫌なヤツだ。

勇者Ⅳ「おいおいおい!!お前まで旅に出たの?えっwwなんで?wwお前如きに王様が頼ったの?ww」

戦士Ⅳ「誰?コイツ」

勇者Ⅳ「あ~ww俺と同郷で俺と一緒で、勇者の血筋の人間。腹違いなんだけどー」

遊び人Ⅳ「へぇーそうなんだ。なんか弱そう。スライムにも負けそう」

魔法使いⅣ「ぷっwwちょっとww失礼ですよ!!そんなのが居たら人間辞めるべきじゃないですかww」

第四の勇者の魔法使いはメガネを掛けた可愛らしい女の子だった。
私の背中に乗っている婆さんより大分可愛い。
性格は悪いがそれが魔法使いのデフォなんだろう。婆さんもそうだし

勇者Ⅳ「笑える話してやろうか?」

私はここから逃げ出したくなった。




23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 18:57:28.22 ID:hjWtO24mO
勇者Ⅳ「俺は伝説の勇者様と、賢者様の子供なんだよ。でも、コイツはww」

私は、第四の勇者を睨んでやった。これ以上喋ったら殺すという文句を添えた目つきだ。

勇者Ⅳ「伝説の勇者様がヤりすてた女盗賊が親なんだよww」

遊び人Ⅳ「何それwwウケるww」

武闘家Ⅶ「………………!!」

魔法使いⅦ「……………………」

武闘家と魔法使いに知られてしまった。
そうなのだ。私が故郷に置いてきた母は元盗賊。病を患って死んでしまった伝説の勇者が唯一、遊びで付き合ったのが母だった。
勇者と盗賊の間に私という人間が産まれた事を国の人間達は祝福しなかった。
むしろ疎ましく思っていたのだろう。私も母もずいぶん酷い目にあってきた。

勇者Ⅳ「あ、そっか!お前は旅に出たんじゃなくて、国を追い出されたのか!!」

武闘家Ⅶ「おい、君……」

勇者Ⅳ「連れてる人間がまた笑えるww酒場に居た売れ残りだろ?ババァに、軟弱武闘家ww」

ふと視線を落とすと、第四の勇者の右頬に蚊が止まっているのに気付いた。
私は親切な人間なのだ。拳を握りしめ、第四の勇者の右頬目掛けて思いっきり拳をぶつけてやった。




25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 19:03:41.97 ID:hjWtO24mO
ペチッという音と共に、第四の勇者の頬が揺れた。
忘れていた。私は飛蚊症持ちだった。第四の勇者の右頬に蚊なんか止まっていなかったのだ。

勇者Ⅳ「イタッ何すんだコラッ!!」

魔法使いⅦ「これはあんたが悪いよ!!火炎魔法!!」

相変わらず、見当違いの場所へ飛んでいく婆さんの攻撃を無視して私もファイティングポーズをとった。

勇者Ⅳ「盗賊の子供が俺とやる気かコラァッ!!」

魔法使いⅣ「勇者Ⅳさん!!私が混乱魔法を掛けますよ!!こいつ等が仲間割れする所見たくないですか?」

遊び人Ⅳ「確かに、ここで暴れると出入り禁止くらうかも」

勇者Ⅳ「よし、混乱魔法をこいつ等に掛けろ」




27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 19:11:27.53 ID:hjWtO24mO
混沌とした意識の中で第四の勇者達が私に脅え逃げ出して行ったのが見えた。


魔法使い「あれ?私はさっき火炎魔法を使ったかね?あれ?あんたは誰かね?」

元々ボケが混じっている様な婆さんはボケた事を言い出しながら私の尻に針金を突き刺してきた。
元々闘わない主義者の武闘家は、私達に手を出さなかった。
私は婆さんの針金攻撃を受けて少し正気に戻った。

周りにいる、カジノの店員達にも魔法が効いたみたいで皆殴り合いを始めている。

武闘家「ちょっ……どうします?勇者さん……ディーラー達も喧嘩始めましたよ!!」

意識がハッキリしてきたので周りを見渡すと、沢山のコインを抱えた僧侶を見つけた。



29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 19:12:50.36 ID:hjWtO24mO
僧侶「いや~儲かった儲かった!!」

宿に戻ると、僧侶は高級そうな酒をゴクゴクと煽りながら我々に自慢話をしてきた。
途中までは負けていたものの突然カジノの店員達が喧嘩を始めたので、隙を見て沢山のコインをかっぱらって来たらしい。

武闘家「いや~しかし、あんな奴が勇者だなんて信じられませんよ……産まれた環境なんか関係無いのに…」

僧侶「あん?そうかなぁ……やっぱり金持ちの家に生まれたいもんだぜ?ハッハッハッ!」

魔法使い「晩飯は食べたかね?」

はぁ……今日は疲れた……私はベッドに入り眠りについた。尻がジンジン痛んだが気のせいだろう。



31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 19:22:57.33 ID:hjWtO24mO
翌日、我々はこの地のいろいろな家を訪問した。

僧侶「あ~神様、ごめんなさいよっと!!」

いろいろな物品を頂戴しほんの少しお金も溜まった。

武闘家「良いのでしょうか。こんな事をして」

僧侶「良いの良いの。神様は人が悪い事してる時は見てないの。だから殺人が起きるんだよ、ア~メン」

もっともらしい事を良いながら、最後の酒をチョビチョビ飲むこの僧侶、宵越しの金は持たぬ主義らしい。

魔法使い「あらあら、まあまあ……昔は人の物を盗んだりしたら、怒られたもんだがねぇ」

婆さんは勝手に他人の家で茶を沸かしながらそう言った

32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 19:28:39.92 ID:hjWtO24mO
武闘家「良い国でしたね」

私はカジノで第四の勇者に出会ったり尻に針金が刺さってしまったりで良い思い出はない。

武闘家「むっ?あの橋……道を塞ぐように小さな女の子が立っていますよ」

武闘家が指差した先には確かに小さな女の子が立っていた。
狭い橋なのでどうにかしないと邪魔で通れないだろう

魔法使い「泣いてるようだねぇ。私も若い頃はあ~やって良く泣いたもんさ」

僧侶「ババァの若い頃の話なんか神父の話よりつまんねぇよ」

千鳥足気味の僧侶がそう言うと、婆さんは怒ったのか黙ってしまった。

武闘家「事情を聞いてみましょうか」

34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 19:42:24.17 ID:hjWtO24mO
さて例によって武闘家の問いに対してずっと、いいえと応えてみたが無駄だった。
ハイと言うまで頑なに、質問してくるのだコイツは。

武闘家「どうかしたかい?お嬢ちゃん」

女の子は強面の武闘家の意外な声に驚いたような顔をした

少女「あの……助けて下さい」

僧侶「困った顔をしてれば誰かが助けてくれるなんて甘い考えしちゃダメよお嬢ちゃん」

少女「えっ?」

僧侶「何があったかわかんねぇけど、泣いてたら誰かが助けてくれるなんて大間違い!!
いくら泣いて詫びても、返済期限が過ぎたらボコボコに殴られるんだよ、ア~メン」

武闘家「ちょっと……小さな子にそんな話は……」

魔法使い「やれやれ、困った子達だねぇ」

婆さんが私の背中でため息を吐いた。

36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 19:47:21.39 ID:hjWtO24mO
少女は泣いていた訳を話してくれた。
少女の父は、病気で倒れたらしい。
特殊な病気で、この橋から南側にある洞窟にしか生えていない薬草しか効果が無いらしい。

僧侶「んなもん、俺様の回復魔法で回復してやるからさっさと通しな!!カジノが俺を待ってんだよ」

少女「………………」

少女は事情を説明すると黙ってしまった。

武闘家「洞窟へ向かいましょう!」

魔法使い「コウモリとか居たらいやだねぇ」

お気楽なパーティーだ。


37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 19:52:57.29 ID:hjWtO24mO
少女は、我々より先に誰かに依頼したとも言っていた。
そいつらが帰って来ないのも心配だと。洞窟には、多数の足を持つ魔物がいてそいつが厄介だとか。

僧侶「あーぁ!参ったなぁ!!お金にならない仕事引き受けちゃってさぁ!!酒もなくなったしよぉ!!……ウップ」

魔法使い「おや?あれが洞窟かね?ん?あんた達、顔色悪いけど大丈夫かい?」

僧侶と私の顔を見て婆さんが言った。
僧侶は酒の飲みすぎ、私は元々こんな顔色なのだ。
婆さんを担いでいるのに疲れて気分が悪くなった訳ではない。

武闘家「行きましょう!!」

武闘家が先陣をきって中に入っていった。
奴が先頭に立って大丈夫なのだろうか。

38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 19:58:58.05 ID:hjWtO24mO
武闘家が先頭に立ったお陰で私は、モンスターの攻撃を受けずにすんだ。
武闘家が全ての攻撃を受けてくれたのだ。これぞ勇者の盾。
今時の勇者は、自分の仲間も防具として扱うのだ。

武闘家「モンスターに攻撃する事が出来ないのでこれぐらいは……」

私は民家から貰ってきた小銭を僧侶に払って武闘家の体力を回復させてやった。
手ごわいモンスターの強烈な一撃に備えたのだ。
これで安心。


魔法使い「あれ?私の得意な魔法はなんだったかね」

旅に不安はつきものだ。

39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:01:56.65 ID:hjWtO24mO
モンスターと出会う
武闘家が攻撃を受ける
その間に、体力温存の為に逃げる。
という作戦で我々は洞窟の奥までたどり着いた。

勇者Ⅲ「あんれー?第七の勇者じゃねぇか!!」

洞窟内で騒がしい声を上げながら第三の勇者が現れた。

僧侶「うっせぇなぁ」

いや、全くその通りだ。

41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:07:55.58 ID:hjWtO24mO
婆さんが私の首筋を嫌らしく撫でてきた。

勇者Ⅲ「いや~薬草は無事とったんだけどさぁ、レベルが最大になるまでここに居ようと思ってさ」

おい、婆さんやめてくれ

武闘家「あの少女はあなたの身を案じてましたよ」

婆さんやめろって

勇者Ⅲ「ホントかい?あっちゃ~失敗したねぇこりゃあ……」

ババァ、いい加減にしないと振り下ろすぞ

武闘家「あなたは一人で旅を?」

よし、ここが貴様の墓だババァ

勇者Ⅲ「うん。酒場に仲間が居るなんて知らなくてさぁ俺」

魔法使い「ギィアアァアァァアアアア」

僧侶「ん?」

武闘家「むっ!!」



43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:13:34.56 ID:hjWtO24mO
婆さんが、巨大なタコに捕まっていた。
タコの足が私の首筋を撫でていたのだ

残りの足は婆さんの身体をまさぐっている

魔法使い「いやらしい子だね!!あんたは!!お仕置きよ!!えっと……あれ!!あの魔法!!ん~ここまで出てきてるんだけどねぇ」

婆さんが早口で独り言を言ってる間、タコの足はどんどん服の中へ入っていく

僧侶「触手プレイってヤツだな。はじめて見たわ」

僧侶はタバコをくわえ火を探し始めた。

武闘家「おばぁっ……魔法使いさん!!火炎魔法を!!」

武闘家はファイティングポーズをとったまま、後退していく。

魔法使い「火炎魔法!!」

婆さんの魔法は僧侶の元へ飛んでいきタバコに火を付けて消えた。

勇者Ⅲ「……………………」


45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:17:26.50 ID:hjWtO24mO
勇者Ⅲ「第七の勇者!!悪いが修行の成果を試したい!!コイツは俺が倒すぜ!!」

仕方ない。闘う一歩手前だった私は頷いて、タコの相手を第三の勇者に任せた。

勇者Ⅲ「うっりゃああぁあ!!」

ズバッ

武闘家「お見事!!」

第三の勇者の一撃は、タコを両断した。




47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:21:59.64 ID:hjWtO24mO
勇者Ⅲ「ふぃ~っ!!俺も大分レベルアップしたなぁ……この洞窟のボスを一撃でやっつけちゃったよ」

武闘家「いや、驚きました」

勇者Ⅲ「悪いな、第七の勇者!!仲間が捕まっててお前も頭にきてただろうけど」

別に婆さん一人どうって事は無い……というかむしろ居ない方が良いのだが、私は頷いておいた。

勇者Ⅲ「あ、そうだ!!薬草渡しておくよ!!ごめんなさいって言っといてくれ!!」

武闘家「承りました!!」

婆さんは、ズレた下着を治しながら第三の勇者にお礼を言っていた。


48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:29:31.48 ID:hjWtO24mO
武闘家「あの、第四の勇者と違ってなかなか良い人でしたね」

魔法使い「ホントねぇ。もうすぐで私はあのイヤらしいタコにイカされる所だったよ」

それは本当に良かった。その光景を見ないですんだのが

武闘家「第三の勇者さんとは仲良しだったんですか?」

仲良しという程の事ではない。
ただ一度だけ、砂場で探し物をしている私を見て遊んでいると勘違いして第三の勇者がやって来た。

その時、第三の勇者はどっちがデカい山を作れるか競争だ!!と言って、いきなり砂山を作り始めたのだ。
迷惑な話。幼い私は しょうがなく付き合ってやったのだ。

武闘家「はぁ~やっぱり良い人ですね!!」

僧侶「ケッ!!神に仕える俺様の方が良い人だけどな」

タコをクチャクチャ食べながら、僧侶が言った

51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:37:37.75 ID:hjWtO24mO
さて少女に薬草を渡した我々は、先を急いだ。
僧侶は若干すねている。お礼をしたいと言う少女の申し出を、武闘家が断ったからだ。

武闘家「まあまあ、僧侶さん…あの薬草は第三の勇者さんが拾ったものなんですから」

僧侶「そうだけどよぉ!!」

武闘家「ほら!次の国が見えてきましたよ!!」

魔法使い「む?そう言えばこんな魔法が使えたんだった!!移動魔法っ!!」

我々は目と鼻の先だった国から婆さんの魔法のお陰で最初の国へ戻ってしまった。



54 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:49:38.61 ID:hjWtO24mO
魔法使いのせいで大分後退した我々は、やっと次の国へ着いた。

僧侶「ったく!!ババァには迷惑かけられっぱなしだぜ」

魔法使い「迷惑?私がいつあなたに迷惑かけたかね?」

僧侶「ババァのボケたフリは上手いからな」

全く同感だ。

武闘家「と、とりあえず……宿屋へ行きませんか?」

モンスターの攻撃を全て受けた武闘家が、もうすぐ死んでしまいそうなので親切な私は宿屋へ向かった

55 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:56:42.61 ID:hjWtO24mO
ふむ……この国は寒い。薄い布団一枚では、風邪をひいてしまうかもしれない。

魔法使い「ん~……ニャムニャム」

しかし、部屋割りがおかしい。何故私が婆さんと同じ部屋なのだ。
この部屋割りを決めたのは武闘家なのだが、ヤツは

武闘家「勇者さん!!頑張って下さいね!」
と言っていた。何を頑張れと言うのだろうか。謎だ。


56 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 20:59:59.09 ID:hjWtO24mO
宿屋「おはよう御座います!!昨夜はお楽しみでしたね?」

宿屋の店主が私を見てそういった。何も楽めてないのだが

武闘家「あ、そうだ。宿屋さん!この国で何か困った事はありませんか?」

宿屋「前は、氷の魔神が暴れてたんですが、勇者の血を引く方が現れて倒してくれたので特にないです!!」

……第一の勇者だろう。なかなか優秀だ
このまま早く魔王を倒して欲しいものだが

65 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 21:47:09.02 ID:hjWtO24mO
更に国を三つ程超えた。

僧侶「この国で顔変えられねぇのかな?」

僧侶はその間、借金が一億を突破した。

魔法使い「おや?私達は一体何しに旅をしてるんだっけね?」

魔法使いは、時折旅というより徘徊をする様になった

武闘家「今のモンスターの一撃は大した事なかった……」

武闘家はタフさだけは大分あがった。

私はピッキングが出来るようになった。

そんなこんなでやってきた新しい国。
そこに、第五の勇者が居た。


67 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 21:56:15.19 ID:hjWtO24mO
武闘家「この銅像が、第五の勇者さんなんですか?」

魔法使い「僅かに魔力を感じるねぇ」

僧侶「石にされたんか!!あぁ、この銅像売れば高くなりそうだな、オイ」

第五の勇者は石にされていた。勇者軍の中で初の脱落者
まあ私が見てきた中での話だが。

魔法使い「この国には嫌な魔力を感じるね~」

私も自分の背中辺りに嫌な湿り気を感じていた。
婆さんのヤツ……まさか……


68 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:00:08.17 ID:hjWtO24mO
なけなしの金を使って私は着替えた。

魔法使い「どうやら、水流系魔法が暴発してしまったみたいでゴメンねぇ」

武闘家「勇者さん、魔法使いさんが感じたイヤな魔力の発生源に行ってみませんか?」

僧侶「一文の得にもなんないけどな!!」

私は武闘家の問いにイイエと応えた。
抗えないものがあると知っていても、ほんの少し抵抗する事は誰だってあるだろう

70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:07:17.59 ID:hjWtO24mO
我々は婆さんが感じたイヤな魔力の発生源に来ていた。
火山の近くだ。

僧侶「んだよ!霊とか出ないだろうなぁ?」

武闘家「ハッハッハッ!幽霊なんかこの世に居ませんよ」

僧侶「知ってるか?霊ってのはなぁ、存在を信じてない人間の前に現れるんだぜ?信じて貰う為にな」

私は幽霊を信じている。というより、ほとんど幽霊と似た様な存在がいつも私の背中に乗っかっているからだ

魔法使い「何しにここに来たんだっけね?」

また、この婆さんはボケて…………ん?

武闘家「そう言えば理由なんて考えてなかったですね」

僧侶「ふざけんなよバカがよぉ」

理由も無いのに危険な場所へ行く。それが勇者の旅らしい。

71 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:12:09.15 ID:hjWtO24mO
婆さんによると、この火山の火口付近が魔界の入り口と繋がって居るらしい。

武闘家「だから、イヤな魔力と感じたんですね」

僧侶「なんでそんな所に入り口なんか作ったのかな?魔王ってバカなのか?」

魔法使い「誰も近付けたくなかったんだよ。魔王ってのは、実は臆病なのさ」

武闘家「あ、どうします?魔界に行きますか?」

僧侶「いや、これはまだ行かない方が良いだろ?死ぬぜ?死んだら俺の臓器全部怖い人達が持って行くぜ?」

武闘家「むぅ……そう言えば私の臓器も僧侶さんのせいで、持っていかれる事になったんだった」

私の肝臓もだ。


72 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:16:36.30 ID:hjWtO24mO
とりあえず、火山の方のイベント(火山を見るというイベント)を難なくクリアした私達は、そのまま次の国へ向かった。

最後の国だ。

武闘家「なんか、あっさりしてますね」

そんな戯言を聞きながら、たどり着いた。

大臣「良くぞ!良くぞ!!いらっしゃいました。勇者様」

我々を出迎えたのは、国の名前を暗記して伝えにくる国民ではなかった。

大臣「国王様がお待ちです。着いて来て下さい。よろしいですか?」

ここでも、私は抵抗を試みた。結果は言わないでも分かるだろう

74 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:21:37.03 ID:hjWtO24mO
国王「わざわざ呼び出してすまない!!」

僧侶「そうだよなーっ。自分から来いってんだよっ……チッ」

国王「おぅふっ!!いや、すまないマジで」

武闘家「それで?お話と言うのは?」

国王「実は、第六の勇者が北の鍾乳洞から帰ってこないのじゃ」

僧侶「ガキじゃねぇんだからよぉっ……ほっときゃ良いだろ」

国王「更に、第六の勇者を追いかけて鍾乳洞に向かった我が息子も帰って来ない……」

僧侶「あーっウォッホン!!国王様!!もし、お困りでしたら私達が力を貸しましょうか?王様が居ないのは国の一大事ですよね」

僧侶の目が代わった

75 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:25:33.08 ID:hjWtO24mO
僧侶は多額の報奨金を貰うという約束で、最後の国の王様探しを受けた。

武闘家「しかし、帰って来なくなった勇者さんを追いかけるなんて勇敢な王子ですね」

僧侶「フンッ!!ただのパフォーマンスかもぜ?鍾乳洞の入り口の方で立ち往生してたりしてな」

婆さんが静かだが、眠ってるだけで死んだ訳じゃないというのを確認しつつ我々は先へ進む。

第六の勇者に付いて多少の説明をしておくとしよう

77 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:31:49.60 ID:hjWtO24mO
第六の勇者は実は女だ。
伝説の勇者と女戦士の娘。気性が勇者並に荒く実力も勇者並にある。そして、優しさも勇者並だ。
美貌もそれなりのもので私はたった一度だけ遠くから見た事がある。

あれはいつの事だったか記憶が定かでは無いが、私がどこかの倉庫で一晩過ごした時だっただろう。

窓を見つけそこから脱出出来ないか考えていた時、遠くを歩く第六の勇者を見かけた。
第四の勇者に言い寄られていたがそれを鼻にもかけぬと言った感じだった。

僧侶「おっ?鍾乳洞の前に誰かいるぜ」

魔法使い「やだよ、ウルサいね。あんた達は」


僧侶の発見と婆さんの起床はほぼ同時だった

79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:36:45.30 ID:hjWtO24mO
鍾乳洞の前に居たのは、王子だった。

僧侶「よっしゃ!!ミッションコンプリート!神様ありがとう!!アーメン!!ほらあんた!!早く帰るぜ!!」

王子「いえ……帰りません…私はここに居ます」

武闘家「第六の勇者様の安否が心配なのですね?」

王子「えぇ、まぁ……」

僧侶「んだよ!!早く帰ろうぜ!!酒飲んでないから身体震えてんだよ」

王子「いや、その……」

魔法使い「恋かね?」

王子「……………………」

恋らしい

82 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:41:28.05 ID:hjWtO24mO
僧侶「おいおい兄さん!!恋とか愛じゃあ、王様は務まんないぜ?」

武闘家「良いじゃないですか!!素敵ですよ」

僧侶「一生の愛なんか世の中に無いの!!一生の愛を捧げるってのは悪魔に魂を売るのと同義語だぜ?アーメン」

魔法使い「私の若い頃は……」

武闘家「そもそも何故、第六の勇者様はここへ入ったのですか?」

王子「実は、この鍾乳洞の中には我が国の国宝があると言われているのです」

王子が話したのはありきたりな話だった


86 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:04:58.08 ID:hjWtO24mO
鍾乳洞の奥深くにある宝箱には最後の国の秘宝が隠されている。
その秘宝を前々から目にしたいと思っていた国王はある日、お触れを出した。
秘宝を見つけて持ってきた者の願いを一つだけ叶えるというものだ。
時を同じく、旅で傷付き最後の国に流れついた第六の勇者は王子から手厚い治療を受けた。
それが二人の恋の始まりだった。
身体の傷も癒えお触れの話を聞いた第六の勇者は、国王に王子との結婚を許して貰う為だけに鍾乳洞に入った。

僧侶「そんな事他人任せにすんなよな。お前のチンコと第六の勇者のマンコの問題だろ?」

武闘家「なっ……ちょっと僧侶さん!!」

僧侶「秘宝なんか無くても、国王をなんとか説得して結婚を許して貰おうとか考えなかったのか?」

王子「……………………」

僧侶「秘宝に頼ろうなんて、随分甘い考えだと思うけどな。秘宝は愛ってヤツの証明にはならない」

長い旅で理解している。僧侶は秘宝も手に入れてどこかに売るつもりだ


87 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:12:11.35 ID:hjWtO24mO
王子「私は……しかしどうすれば……」

武闘家「我々が、第六の勇者様を連れ戻します!!」

僧侶「なっ!おいっ!!」

武闘家「ですから王子はここで待っていて下さい!!」

僧侶「いや、まずは王子を国に送り届けるのが先……」

武闘家「僧侶さん!!あなたは素晴らしい人だったんですね……秘宝よりも愛の方が美しい……なんて素敵な言葉……」

僧侶「そんな事言ってねぇし」

魔法使い「あら、イヤだ。この子はボケちゃったのかい?」

僧侶「婆さんに言われたかねぇよ……まあ良いや……勇者行くぞ」

私の背後で武闘家と魔法使いが顔を見合わせて笑っている。
長い旅で理解している。
僧侶が文句を言えない状況を敢えて作ったんだろう。

私もたまには笑ってみるのも悪くないなと思った

88 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:18:51.57 ID:hjWtO24mO
笑っている場合ではなかった。

鍾乳洞には敵がわんさか居るのだ。

武闘家「ウォォオオォォッ!!」

唸り声を上げながら相手の攻撃を耐える武闘家

魔法使い「なんか……その……魔法っ!!」

魔法の呪文を忘れ適当な魔法を放ちことごとく外す魔法使い

僧侶「うおっほぅっ」

その外れた魔法を喰らいそうになる僧侶

冷静な判断で作戦を繰り出す私。

そうやってなんとかモンスターを倒さずに、我々は鍾乳洞を進んでいった。

武闘家の体力回復の為に、民家から貰った金は全て僧侶に渡した。



92 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:32:34.22 ID:hjWtO24mO
第六の勇者は、宝箱の前に倒れていた。

魔法使い「おやおや、あんな所で寝たら風邪引くっていうのにねぇ」

そんな悠長な事を言ってる場合ではない。あれは死にかけてるのだ。

僧侶「おっ!!宝箱には手を付けてないな?よっしゃっ」

武闘家「いやいや、宝箱よりも先ずは第六の勇者様を助けないと!!回復魔法を!!」

僧侶「でも、金は無いだろ?」

武闘家「うっ……」

実は金が無い訳ではなかった。しかし僧侶を動かす方法はなんとなく知っている。

第六の勇者を助けないと、王子は最後の国に戻らないだろう。そうなると報奨金は手に入らず、秘宝だけが手に入る。

金に汚い僧侶なら、報奨金も秘宝も手に入れたいだろう。

私は魔法使いを起こして、作戦を伝えた。


93 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:39:40.83 ID:hjWtO24mO
勇者Ⅵ「いや、本当に助かった」

武闘家「気にしないで下さい!!」

何故武闘家の手柄みたいになったかが気になったが気にしない事にした。

魔法使い「それで?あんたはあの王子が好きなのかい?」

勇者Ⅵ「えぇ、まぁ……」

僧侶「早く出ようぜ!!報奨金と秘宝の換金があるんだから!!」

魔法使い「せっかちな子だね!!これあげるから黙っときなさい!!」

飴をもらいながら渋々黙りこむ僧侶。

勇者Ⅵ「まさか、あんたまで旅に出てたなんてねぇ」


勇者Ⅵが私を見つめてそう言った。他の勇者達が道草をくってるから私は旅に出されたのだ

94 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:46:17.75 ID:hjWtO24mO
勇者Ⅵ「あぁ、第三の勇者なら私もその洞窟で会ったよ。第四の勇者はカジノ通い。あいつはダメね」

女ってのは良く喋る生き物だ

勇者Ⅵ「第五の勇者は、私も石になってるのを見たわ。その後に魔獣に追いかけられて倒れたの」

魔法使い「あんたの仲間達はどうしたんね?」

勇者Ⅵ「結婚したいって言ったら愛想尽かされちゃいました」

魔法使い「まあ!!女の子には大事な事なのにねぇ」

勇者Ⅵ「本当に……まあ、勝手な事をしたのは自分なんですけどね」

魔法使い「そうねぇ……私の若い時は……」

彼女等の話が終わってから1日掛けて鍾乳洞の脱出に成功した

98 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:56:09.52 ID:hjWtO24mO
大臣『……それでは、王子と第六の勇者様との結婚式をとり行う』

拡声器で遠くまで聞こえる様に調整された大臣の声がこの火山まで聞こえる。


我々は結婚式に招待はされなかったが、国王からお礼を言われた。

僧侶「チクショウッチクショウッチクショウッチクショウッチクショウッチクショウッ」

僧侶は秘宝を盗もうとしたのがバレて報奨金は貰えなかった。

代わりに王子から高い酒を貰って、煽るように飲んでいる。

魔法使い「いよいよ魔界だねぇ……」

武闘家「緊張しますねぇ……勇者さん飛び込みますか?」

私は、ハイと答えた。



99 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:58:14.59 ID:hjWtO24mO
数々の困難があった。

僧侶が借金1億を突破し、武闘家がモンスターからの打撃を全て受け入れ、魔法使いの婆さんが自分が覚えていた幾多の魔法をボケのせいでどんどん忘れていった。

第三の勇者(伝説の勇者と僧侶の子)は洞窟でレベルがカンストするまで留まり続け

第五の勇者(伝説の勇者と武闘家の子)は石にされて脱落していて


第六の勇者(伝説の勇者と女戦士の娘)は、異国の王と結婚した。


そして、第七の勇者である私は仲間達となんとか逃げ続け……いや、なんとか生き延びて魔界に来た。



102 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:01:04.89 ID:xxN9PTFQO
皆、思う所があるだろう。

武闘家「なんか魔界に来ちゃいましたね」

魔法使い「おや?ここが魔界かね?」

僧侶「魔界じゃあ、俺はまだ借金してねぇんだよな……」

そうでも無いようだ。

我々ははじまりの国から全然成長していないような気がする。
目の前には魔王の城。
私の手には勇者の剣は握られておらず、相変わらず婆さんの体重を支える為に機能している。

武闘家「殴り合いとかにならないと良いんですが」

魔法使い「あれは私の城かね?」

僧侶「金がいっぱいありそうな城だな」

なんにせよ、ラストバトルだ。勝てる見込みは無いが



104 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:02:39.17 ID:brw9GTseO
魔王城の重そうな扉を武闘家が開いた。

魔法使い「おや?誰か居るね?私の旦那かね?」

勇者Ⅰ「ん?あれ?勇者Ⅶか?」

勇者Ⅱ「あ!ホントだぁ!!噂は本当だったんだ」

第一の勇者と第二の勇者だ。まさか、一緒に行動していたとは。

僧侶「知り合いか?金持ちか?」

知り合いで金持ちだ。私はハイと応えた。僧侶が舌なめずりしてるのが見えた。




105 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:10:23.90 ID:brw9GTseO
戦士Ⅰ「んだ?この弱そうなヤツは」

武闘家に負けないぐらいゴツい顔の戦士が私を睨んでくる。
勇者Ⅰ「おい、戦士!!辞めとけ辞めとけ!そいつ本当に弱いから」

勇者Ⅱ「おっと?第一さんも結構酷い事言ってますが……」

魔物使いⅡ「仲良くしましょうよぅ」

第一の勇者は、伝説の勇者と魔法使いの子
第二の勇者は、伝説の勇者と遊び人の子だった筈だ。

勇者Ⅰ「んーまぁ仲良くしてやっても良いけど……」

私は勇者が握っている剣が気になった。

間違いなく勇者の剣だ。僧侶も私の顔を見て、コクリと頷いた。


106 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:17:27.78 ID:brw9GTseO
魔法使い「おやまあ、皆さん知り合いかね?飴でも舐めるかい?」

勇者Ⅰ「いらねぇよババァ!!」

魔物使いⅡ「ちょっと、第一の勇者さん酷い事言ったら叩きますよ!!」

勇者Ⅰ「あぁ、スマン……気がたってるんだよ……」

勇者Ⅱ「第七くん、第一君の事許してあげてね」

武闘家「第二の勇者さんって素敵な方ですね……甘い匂いがしますよ」

ふむ……。ここは、この二人に任せておけば大丈夫な気がするが

魔法使い「魔王の顔を拝まないとねぇ」

両手を擦り遭わせながらブツブツ念仏を唱えて何か勘違いしてる婆さんにしてはマトモな事を言う。

魔王の顔を拝まないと帰れない

111 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:23:58.96 ID:brw9GTseO
勇者Ⅰ「ふぅっ……どうだ?勇者Ⅶ!!お前こんな事無理だろ?」

勇者Ⅰの周りには、魔王城を守っているモンスター達が倒れている。
これを一人でやってのけるのだから素晴らしい実力ではある。

僧侶「こりゃあ、俺様の出番は無いねぇ」

勇者Ⅱ「なんかごめんなさいね、皆さん……勇者Ⅰさんってちょっとへたれな癖に実力を見せびらかしたがる所があって……」

戦士Ⅰ「ああでなきゃあ勇者は務まらんっ!!」

ガッハッハッと豪快に笑う戦士が非常にウルサい。

勇者Ⅰ「俺は昔から強かったからなぁ!!第七の勇者のお陰でもあるけどな」

私は少し昔の事を思い出した。



115 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:29:11.77 ID:brw9GTseO
幼い時の私は随分泣いていたと思う。
伝説の勇者が性病で亡くなったのは私の母のせいだ等という噂も幼い私の耳に入っていた。
私と母は、伝説の勇者の唯一の過ちとして国中の人間達から嫌われていた。
母を口説いたのは伝説の勇者の方なのだ。(しかも母は性病持ちではない。母の名誉の為)

そういった大人達の目はやがて子供へ伝染する。
私は、様々な嫌がらせを受けた。


117 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:36:12.20 ID:brw9GTseO
私は選ばれし者達と勇者の子供達が通う学校には行けなかった。
私の国の王が許可をしなかった為だ。
私はお金の掛からない学校に通い始めた。
『勇者の子供がこんな底辺学校に通ってる』『同じ服を毎日着ている』
子供というのはそれだけの理由で、同じ人間を排除しようとする生き物だ

118 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:41:45.56 ID:brw9GTseO
殴る蹴るは当たり前。母が作ってくれた鞄は壊され、教科書は常にゴミ箱にあった。
母から貰って大事にしていた何かの鍵は砂場に隠され、倉庫に呼び出されて閉じ込められた。

身体中に傷を作って帰ってくると母が心配する。だから回復魔法を覚えた。
教科書はいつも拾った。鞄は、自分の手で何度も補修した。

ある日、私に友達が出来た。名前は本人が主張していたので『ボクは悪いスライムじゃないよ』君にした。


119 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:45:56.54 ID:brw9GTseO
『ボクは悪いスライムじゃないよ』君はいろいろな事を私に語った。
モンスターには実は悪いヤツは居ないという事、スライムの性感帯、魔法の事、伝説の勇者の事も聞いた。
私は、『ボクは悪いスライムじゃないよ』君を大事にした。はじめて出来た友達だからだ。
しかし、私は友達を守れなかった。

勇者Ⅰ「あれ?お前スライムと仲良くしてんの?」

幼き勇者Ⅰが、私と『ボクは悪いスライムじゃないよ』君の関係を知ってしまったのだ

124 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:51:57.50 ID:brw9GTseO
国中が騒いだ。
モンスターと仲良くするのは言語道断。
モンスターは倒すか従わせるのが鉄則だと。

特に私を糾弾したのは、勇者Ⅰだった。

彼はわざわざ私の学校にやって来ては私のクラスメート達を使ってより酷い、いじめの方法を教えた。
いじめはいじめではなく浄化という名に変わり正当化されていった。

勇者Ⅰ「大体よぉ、こんなスライムが居るからいけないんだよ……俺が殺してやるよ」

勇者Ⅰが、どうのつるぎを構えて『ボクは悪いスライムじゃないよ』君に向かって行く光景は忘れられない。

125 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:57:24.41 ID:brw9GTseO
私の友達は、勇者Ⅰのたったの一撃で死んだ。
勇者Ⅰはレベルが上がった。
それだけで十分だ。本来なら。しかし、死んでしまった私の友達を勇者Ⅰは何度も何度もめった刺しにした。

私の友達は見る陰もなくなってしまった。

私に友達は、仲間はいなくなってしまった。理解者は0になった。

勇者Ⅰ「俺がお前を救ったんだぜ?」

勇者Ⅰは本当の勇者なのか、私には分からない。
勇者Ⅰが勇者の有るべき姿なのか、私には分からない。

私は、モンスターを倒すと行為に畏怖を感じる様になった。
武闘家を笑えない。

私は、全てを忘れたふりをして生きていく様になった。
魔法使いを笑えない。

私は、今まで自分を捨てて生きてきた。
僧侶を笑えない。


そうやって私は、旅立つまで生きてきた。

130 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 01:03:57.97 ID:brw9GTseO
勇者Ⅰ「おい、ここじゃねぇか?」

勇者Ⅰの指し示した先には、黒い扉があった。
周りには壁も無い。
何もない空間に、扉がポツンとあるのだ。

僧侶「おっかねぇなぁ」

武闘家「明らかに何かがあるって感じですね……」

勇者Ⅰ「あぁ、君たちは心配しなくて良いから!!闘うのは俺達だから」

勇者Ⅱ「私たち、頑張ります!!」

魔法使い「良いねぇ青春だねぇ」

何がどう青春なのか分からないが、青春というのは健全じゃないというのは確かなようだ

131 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 01:12:52.54 ID:brw9GTseO
戦士Ⅰ「開けるぜ?」

ゴゴゴ……という鈍い音と共に扉が開いた。

扉の向こう側には闇があった。
闇が拡散し集合しまた拡散する。
闇が分裂し結合しまた分裂する。
形を持たぬのに、手に握れそうな闇。

僧侶「なんか暗闇に入るとムラムラするよな」

武闘家「むぅっ……いきなり出て来なければ良いですが……幽霊とか」

僧侶「おっ!!霊信じてんの?」

武闘家「存在を信じてないと現れるんでしょ?」

魔法使い「あたしは毎日幽霊を見てる」

僧侶「鏡でだろ?婆さんも鏡を見る事ってあんだな」

魔法使い「まあまあ、失礼な子だねぇ」

緊張感の無い連中である。

132 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 01:16:07.25 ID:brw9GTseO
勇者Ⅱ「静かにっ!!何が居ますよ!!魔物使いさんっ」

魔物使いⅡ「ダメっ!!得体が知れないっ!!あたしの鞭じゃあ、従わせる事できんも」

勇者Ⅰ「あいつが魔王か?」


側近A「私は側近だ。魔王様は直に現れる」

側近B「それまで、我等が相手しよう」

側近A「君たちが我等の相手になればだがな」




134 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 01:22:16.98 ID:brw9GTseO
やはり勇者Ⅰの実力は、かなり上達している。
私の目から見てもかなりの実力を誇っているであろう側近二人をあっという間に倒したのだ。

勿論、チームプレイも抜群だ。戦士と勇者Ⅰがダメージを与え、勇者Ⅱと魔物使いが後方支援。

我々だとこう上手くいかないだろう。全員が全員後方支援型だからだ。

僧侶「こりゃあ出番ねぇかもな」

魔法使い「あんたにはいつも出番無いねぇ」

武闘家「ハッハッハ!!言われてますよ魔法使いさん」

魔法使いは私の背中から降りてお茶をすすり始めた。


138 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 01:27:14.10 ID:brw9GTseO
勇者Ⅰ「こんな小細工しねぇで出て来い魔王っ」

勇者Ⅰの叫びは闇にかき消された。その叫びをかき消す為に存在していたようにあっさりと

戦士Ⅰ「今の内に体力を回復させよう」

勇者Ⅱ「そうですね。消費戦になるかもしれないし」

魔物使いⅡ「私お腹すいたも」

僧侶「おっ!!体力回復なら俺様が引き受けますぜ!!死んじゃっても安心の復活魔法サービスもあります!!僧侶保険はいかがですかい?」

元気なヤツだ。
私は溜め息をつこうと一瞬鼻で大きく息を吸った。

139 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 01:30:46.59 ID:brw9GTseO
息を吐いた。
同時に、私の横を何かが横切った。闇から、僅かな光が放たれた。

私が振り替えると、戦士Ⅰが倒れていた。
再び、光。
今度は婆さんが倒れた。

武闘家「うゎっ……うわぁあああぁあっ」

魔王があらわれた!!

143 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 01:33:52.77 ID:brw9GTseO
魔王「良く来たな勇者共。良く集まってくれた」

魔王の姿がハッキリ見えた。身体には古傷がいくつかある。

僧侶「こいつはマズいねぇ……俺様の臓器はしっかり残るのかねぇ」

勇者Ⅱ「戦士Ⅰさんがっ!!戦士Ⅰさんが戦死っ……」

魔物使いⅡ「これ絶対に叶わんも……」

勇者Ⅰ「うろっ……うろたえるなっ」





144 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 01:38:34.49 ID:brw9GTseO
勇者Ⅰ「大丈夫だっ!!おぉお、俺の勇者の剣があいつを仕留める」

勇者Ⅰは自分で自分を激励してるようにも見えた。

武闘家「あ、魔法使いさんは……」

武闘家の声で私はようやく気付く。魔法使いは生きているだろうか?
確認しなければ。

しかし、まだ魔王から目が離せない。目を離したら最期、殺される気がした。



148 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 01:44:52.49 ID:brw9GTseO
勇者Ⅰ「殺ってやる!」

勇者Ⅰが魔王に向かって突進していった。
あいつなら、魔王を引きつけてくれるだろう。一発二発攻撃を食らっても平気だという意味で。

私と武闘家は、婆さんの元へ駆け寄った。

武闘家「魔法使いさん……僧侶さんっ!!復活魔法を……」

婆さんは危篤状態だ。このまま時が立てば、死んでしまい復活魔法でも復活できない。

勇者Ⅰと魔王は意外にも良い勝負をしていた。

傍らには魔物使いⅡが倒れている。


149 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 01:47:50.23 ID:brw9GTseO
勇者Ⅰと勇者Ⅱのコンビネーションは抜群だった。
回復魔法で勇者Ⅰを常に万全の状態にして、勇者Ⅰの一撃一撃を必殺のモノにしている。

武闘家に呼ばれた僧侶が、酒をチビチビ飲みながらやってきた

僧侶「復活魔法は良いけど……お金は?」

武闘家「え?」

え?




151 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 01:59:23.02 ID:brw9GTseO
魔王「クックック……バカがっそうやって回復魔法を使い続ければやがて魔力は尽きる!!」

勇者Ⅱ「それまでにあなたが倒れれば終わりよ!!」

勇者Ⅰ「その通りっ」
魔王「ふむ……出来るとよいがな……」
ジャキッ

勇者Ⅰ(っべぇ……こいつマジつぇえっ俺の剣捌きが見切られてる)

勇者Ⅱ(こいつ使えNeeeeeeeeeee)



152 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 02:00:18.91 ID:brw9GTseO
勇者Ⅱ(こうなったら……)

勇者Ⅰ「おいっ!!前に出るとあぶな……」

勇者Ⅱ「火炎魔法っ氷結ッ氷結ッ火炎ッ雷ッ」

魔王「ぬぅっ?」
ピクッピクッ

勇者Ⅰ「魔王の身体が止まった!!雷で痙攣しやがった!喰らえっ」

ザクッ


153 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 02:01:20.91 ID:brw9GTseO
魔王「ぐぅううっ!!貴様等っ…お返しだ…喰らえっ!!雷ッ」

勇者Ⅱ「キャアアアァアッ」

魔王「もう一発だ……雷ッ」

勇者Ⅰ「流水魔法ッ」
魔王「流水で私の雷を拡散させたか……」

勇者Ⅰ「成功して良かった……そして、雷魔法はもう使えないなお互いに……」

魔王「足元に水が……」

勇者Ⅰ「ああ……さっきの魔法で、水浸しだ……感電死したかったらどうぞご勝手に!!」

ザクッ



154 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 02:04:48.21 ID:brw9GTseO
ふと、私は妙な感覚に駆られた。

魔王を倒すべく立ち向かってる二人が、かつて私をいじめていた奴らとかぶって見えたのだ。

魔王は私に見えた。

私の漠然とした感覚で魔王とはとんでもない悪いヤツで人間を苦しめていると思っていた。

果たしてそうだろうか?



156 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 02:10:36.12 ID:brw9GTseO
今までの旅でモンスターが闘いを仕掛けてきた事は何度もある。
しかしそれは野生の生物が生きる為に行う自然な行為ではなかったか?
魔王は悪さをしたか?

洞窟で薬草の捕獲を不可能にしていたのは魔物とは言い難い、巨大なタコだった。

第五の勇者は石にされてる。第六の勇者は傷つき倒れていた。
これは魔王の悪事。
しかし、人間も悪事を働くのではないか?

仲間割れをさせようと混乱魔法をかけたり、大事なものを隠したり……話し合えば、理解しあえる生物を殺したり……



157 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 02:16:51.18 ID:brw9GTseO
気付けば、魔王はひざまずいていた。

勇者Ⅰ「ハァッ……ハァッ…」

魔王「まだまだこれからだ……第二R……」
魔王の腹から、三本目の腕が現れ勇者Ⅰを掴もうとしたが、勇者Ⅰはそれを難なく切り捨てた。

魔王「グッ……」

勇者と魔王が闘い禍根を残し、それが受け継がれまた闘いが始まる。

どうやら私は勇者ではなかったみたいだ。こんな時にこんな事を考えるなんてやっぱり過ちの子供だからだ。


勇者Ⅰが剣を振り上げた。



159 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 02:21:12.05 ID:brw9GTseO
勇者Ⅰ「終わりだっ!!」

勇者Ⅰが腕を振り下ろした。

ブンッという、風切り音が私の耳に残った……

勇者Ⅰ「あ、あれ?」

魔王「ん?どうした?トドメは?」

勇者Ⅰ「勇者の剣が無いっ!今の今まで握ってたのに……」

勇者Ⅱ「あっ!!あれっ!!第七さんっ!!」

勇者Ⅱが私が抱えている勇者の剣に気付いた。

勇者Ⅰ「お前何ふざけてんだこんな時にっ!てかどうやったんだ」

私は盗賊の息子なのだ。


160 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 02:28:53.77 ID:brw9GTseO
私はいじめられてる時、他と違うという事を恐れてながらも
いじめに遭う自分自身が情けなくて惨めで憎らしくなってわざと他と違う人間になっていった。

魔王も同じではないか?たまたま、出会わなかっただけで出会えば変われるのだ。

魔法使いでありながら、ドンドン魔法を忘れていく婆さんのように

武闘家でありながら、闘いを嫌うヤツが居るように

金とギャンブルを愛し、死んだら臓器が売買される僧侶が居るように

他と違うという事は価値のある事なのだと気付けるんじゃないか?

僧侶「グッジョブ俺様」

武闘家「……良いんですかね?」

僧侶「良いの良いの頼みは聞くのが大事なの」



161 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 02:31:10.56 ID:brw9GTseO
勇者Ⅰ「あとちょっとなんだ……こうなったら魔法でっ……火えっ」

魔法使い「火炎魔法火炎魔法っ火炎魔法」

あちっ!!婆さんの野郎、俺にまでぶつけてきやがった

魔法使い「数打ちゃ当たるのさ」

勇者Ⅰ「邪魔を……するなぁ!!」

戦士Ⅰ「勇者……」



162 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 02:34:31.74 ID:brw9GTseO
勇者Ⅰ「戦士……お前、戦死したんじゃ…」

戦士Ⅰ「あっちの僧侶が助けてくれてね」

魔物使いⅡ「勇者Ⅱざぁあぁん……痛かっだぁ」

勇者Ⅱ「よしよし、泣かないの……」

そもそも、私は30000G持っていたのだ。それを今回全部僧侶に渡したのだ。


魔王「全員で私の相手をするつもりか……確実に殺しておくと」



194 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 08:34:04.93 ID:brw9GTseO
側近A「ま、魔王さまー」

側近B「魔王様!」

魔王「なっ……なっ……側近共!何故お前達が生きてるんだ……」

魔王の目がほんの一瞬変わったのを私は見た。

武闘家「下手したらここで皆死んじゃいますね」

僧侶「お、お、賭ける?賭ける?ここで皆死ぬかどうか」

私は僧侶に、婆さんや戦士Ⅰ以外にも魔王の側近達の復活も命じた。
彼はもう魔力は残ってないだろう。

魔法使い「私は知ってたよ、あんたは良い子なのね」

私の背中におぶさり、耳元でそう婆さんが呟いた。
自分に従って生きてみただけだ。



196 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 08:46:18.95 ID:brw9GTseO
勇者Ⅰ「おいっ、第七!!お前どうすんだこれ!!魔王に媚び売ろうってんじゃないのか?」

ふむ……そう勘違いされても無理は無い。

勇者Ⅰ「そうか……あの時の事を恨んでんのか?嫉妬深いヤツだなお前は」

武闘家「第一の勇者様、ウルサいですよ!!」

魔法使い「ごめんなさいねぇ、私の旦那がねぇ」

婆さんは男前に弱いらしく、どうしても勇者Ⅰを自分の旦那という事にしたいようだ。
それか本当にボケたか?

勇者Ⅰ「あっおい、無視かよ!!」

私は歩みを進め、魔王の前に立った。

魔王「何の用だ……側近達の目の前で私にトドメを刺すつもりか?」

私は、勇者Ⅰから奪ったままだった剣を見つめた。
背中が暖かい。大丈夫だ。

197 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 08:51:53.88 ID:brw9GTseO
私は、勇者の剣を捨てた。

魔法使い「おやおやまあまあ、勿体無いねぇ」

魔王の前に両手を広げた。側近達が警戒したような目で私を睨んでくる。

魔王「何の用だ」

もう一度、魔王が叫んだ。
さて、他人に使うのは初めてだが上手くいくだろうか

私は回復魔法を魔法に向けて放った

200 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 09:01:30.65 ID:brw9GTseO
私が放った魔法は魔王の傷をほんの少し癒やした。古傷は癒えない。

魔王「なんの真似だ?」

勇者Ⅱ「第七くん?」

自分が傷ついた時、他人から受ける回復魔法がどんなに暖かいか、私は知っている。
その暖かさに震え、泣きそうだったのを我慢したくらいだ。
これは僧侶が教えてくれた。

私は魔王の手を握ってみた。
他人の身体が自分の身体に接触してるのがどんなに暖かく勇気を貰えるか…婆さんが教えてくれた事だ。



201 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 09:10:08.74 ID:brw9GTseO
魔王「おい!!貴様っ!!」

『ボクは悪いスライスじゃないよ』君を救えなかったから、魔王を救おうとしてるのか私自身自分の本当の考えは定かではない。
全てを救うのが勇者 だと思ったのだ。

魔王「貴様ッ……私を助けようというのか?」

私はハイと答えた。

魔王「こんな気持ちの悪い身なりの私を?」

私はハイと答えた。

魔王「何故そんな事をする?」

誰かが言った。魔王は本当は臆病なのだと。私と一緒だ。
魔王には人間の友達が居ないだろう。だから、私が魔王の友達になりたいと思った。

世間からの糾弾など、関係ない。自分の職を全うできなくても別の部分で役に立てば良いのだ。
武闘家がそう教えてくれた。



206 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 09:17:37.87 ID:brw9GTseO
あれから3ヶ月が過ぎた。

私は、はじまりの国の地下牢獄に居た。
魔王は撤退した。
勇者Ⅰは怒り、私を罰した。真の勇者になる機会を失ったのだ。しょうがない。

店主「おう、手紙持ってきたぜ」

時折、酒場の店主がここに顔を出す。個性的過ぎる奴らを私に押し付けたのをすまないと思っているのだろう。

手紙の主は、魔王だった。ふむ……魔界の奴らの字ってのは汚くて読み難い。
私の目が涙で霞んで いるのを差し引いても

209 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 09:29:16.67 ID:brw9GTseO
さて、手紙の内容を皆へ伝えようと思う。
私が貰ったほんの少しの幸せを分け与えようという勇者の職業病だと思って貰って良い。

勇者Ⅶ様

どうも、魔王です。あなたの……なんて、冗談ですよ!!ウェッヘッヘッ


魔王の手紙の前半部分は下らないボケと一人ツッコミだ。省略する。



さて、勇者Ⅶ様。
私は今最後の国へ来ています。
最初は警戒されましたが、第六の勇者様が話を聞いてくれて一部の魔獣達の保護を約束してくれました。話を通してくれたのですね。
来月からのサミットでも、積極的に魔獣達と関わり魔獣達を知っていく事の大切さを問いてくれるとも言っていました。

勇者Ⅶ様の仲間だった魔法使いさん僧侶さん武闘家さんも、良い人達で私と共に行動してくれています。

213 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 09:38:43.04 ID:brw9GTseO
皆さん、勇者Ⅶ様の話を良くしてくれます。
魔法使いさんの話だけなんかちょっと要領を得ませんが知識が豊富で私の背中に良くおぶさってきます。

僧侶さんは、人間界での借金が二億を突破し「逆カンストだな。神から見向きもされない、だから何をやってもいい」と呟きながら酒を飲んでいます

武闘家さんは、我々の警護をしてくれています。我々なんかほっといても良いと言ったら、「これぐらいしか役に立てない、今度は魔王様の盾になります。良いですね?」と言ってくれました。

随分前置きが長くなりました。私は勇者Ⅶ様にお礼を言う為にこの手紙を書いたのです。

214 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 09:47:22.22 ID:brw9GTseO
私は疲れていました。あの時、勇者の血を引く人達が押し寄せて来た時はこれで死ねるとも思いました。

様々な傷を負い、私は心を無くして死ぬ事を望んでいたのです。自分が死ぬ為に様々な事をして勇者様達を成長させたのです。
しかし、私の企みは勇者Ⅶ様によってあっさりと潰えました。
勇者Ⅶ様は私に回復魔法を掛けてくれました。人の暖かさを教えてくれました。

その時に私は思ったのです。

私も変われるのではないかと。こんな私でも、人々を慈しみ、魔獣達を部下ではなく仲間として見る事が出来る、そんな魔王になれるのではないかと。
勇者Ⅶ様のように私もなれるのではないかと。そう思ったのです。



216 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 09:58:56.84 ID:brw9GTseO
魔王の手紙の最期の一文『私は今、笑顔でこれを書いています』と添えられていた。

ふむ……。そう言えば私は、この友人の笑顔を見ていなかった気がする。
どうやら会いに行かねばならない様だ。
母も連れて行こう。
大分身体の調子も良くなったと聞く。婆さんを背負って旅をしたんだ。母さんを背負って旅をする事など訳はない。

久しぶりに一緒に旅をしたあの個性的な面々にも会ってみるのも悪く無いだろう。

私は長いこと尻に刺さっていた針金を抜き去った。ピッキングは私の得意分野だ。


牢獄の扉が開いた。

さあ、行こう。
友達に会いに。


-終-
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